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ドロシー・ミラーさんに聞く インターネットを楽しみましょう


 米国シニアネット(SeniorNet)の創設当時からの会員で、日本各地のシニアネットとの交流があるドロシー・ミラーさん(84)=民芸評論家、米国カリフォルニア州サンタクルーズ市在住=にインタビューしました。ドロシーさんは、2001年8月、仙台市で開かれた「グローバルシニアネットのつどい&電脳仙台七夕祭り」(主催・電脳仙台市民協働プロジェクト)に参加、シニア世代がコンピューターやインターネットを楽しむ秘けつを、身をもって多くの人々に伝えていました。インタビューは、電脳仙台市民協働プロジェクト、仙台市の協力で実現しました。(シニアネット仙台PCサロンWEBチーム)

 米国シニアネットは、全米でシニア世代のためのコンピューター学習センターを運営しているNPOです。シニア世代のIT(情報技術)活用を支援する活動に幅広く取り組んでおり、現在、シニアネット仙台と共同で「日米インターネット交流実験・パート2」を進めています。
ドロシーさん(右)
隣は同じシニアネットメンバーのトム・タンバリンさん
ドロシーさん
 刺激的で素晴らしい取り組みだと思います。米国側の参加者の間では、一体どうしてあのようなことが可能なのか。どこのだれが、どのような経過で、取り組んでいるのかと不思議に思っています。私にメールで問い合わせてきた人も何人かいるんですよ。

 この交流実験では、日本と米国のシニアが互いに自分の国の言葉で電子メールを書きます。ボランティアが間に入って、英語を日本語に、日本語を英語に翻訳し、それぞれのウエッブサイトやメーリングリストに流します。インターネットは、市民が地球規模で通信することを可能にしましたが、実際には、言葉の壁があるので、日本人は日本人同士のコミュニケーションになることが多いようです。
 シニアネット仙台は、シニア世代が気軽にインターネットを楽しむ仕掛けとして、翻訳者と双方の参加者が一体となった日米インターネット交流を提案しています。

ドロシーさん
 翻訳が分かりやすくてとてもいい。何人のボランティアが参加しているのだろうか。日本にいる外国人が翻訳しているのですか?それとも日本人がやっているのですか?いずれにしても翻訳を担当するみなさんは大変でしょうね。

 翻訳を担当しているのはシニアネット仙台のメンバー4人です。仙台の3人と、カリフォルニア州モンタレーに住む女性です。

ドロシーさん
 インターネットはまだまだ英語の世界です。特に日本のシニア世代にとっては、新しい言葉をいくつも覚えなけれ ばならないので、難しいでしょうね。1991年にNTTと米国の電話会社AT&Tが「ニューイヤーチャット(新年おしゃべり)」を計画しました。私が日本の人々と交流したのはそのときが初めてでした。当時は電話で話をしたのですが、その当時も、言葉の違いを乗り越えるのは、大変なことでした。

 ドロシーさんがコンピューターを使うようになったのはいつからですか?
ドロシーさん
 1981年でした。シリコンバレー(サンノゼ)のコンピューター技術者たちが参加しているズィーネットのニュースレターを読んで、コンピューターのことを初めて知りました。非常に初歩的な段階から始めました。最初はマイクロソフトのマジックワンで文章を書きました。その後、ワードスターからワードへとつながります。ワードは今でも使っています。

 そのころからアメリカのシニアはコンピューターを使っていましたか?
ドロシーさん
 いや、そうではありません。米国のシニアの間でコンピューターが広まるのは、1986年にメアリー・ファーロングさんがシニアネットを創設してからです。メアリー・ファーロングさんらシニアネットのリーダーたちが、私が住んでいるサンタクルーズなどに出張して、コンピューターを教えてくれるようになったんです。
 私たちは、今ではコミュニティーセンターの一室を借りて、コンピューター教室を自分たちで運営しています。PCが10台、MACが5台、印刷機が2台、スキャナーが3台あって、80のコースを設けています。

 米国シニアネットの本部はサンフランシスコにあり、その取り組みは全米に及んでいます。全米220カ所以上にシニア対象のコンピューター学習センターがありますが、それぞれの学習センターは、本部の運営から独立する形で行われています。リーダー(コーディネーター)が運営に必要な資金集めや受講生の管理、講師を務めるボランティアの募集などを担当しています。シニアネットの本部は、各地の学習センターの運営ノウハウや資金調達のための情報提供などを行っています。  

ドロシーさん
 シニアネットという大きな組織があって、地元にもコンピューター教室を運営する、地元のネットワークがあります。そのことが分かりにくい面があります。「グローバル」と「ローカル」とがあるとしたら、私自身は、ローカルのネットワークが非常に重要だと考えています。

 ドロシーさんは、日本の織機を欧米に紹介した初めての人。日本の伝統的な染物、織物に関する論文を最初に英語でまとめた人でもあります。藍染め等に関する記事を多くの出版物に書いています。藍染め研究に関する自著は、ホームページだけで6000冊が売れた。スエーデン、カナダ、メキシコ等から講演の依頼を受け、年に4−5回は講演旅行に出かけています。ドロシーさんが電子メールで使っているニックネーム(スクリーンネーム)は「indigo」。藍色の染料の意味。  

ドロシーさん
 米国のシニアたちは、インターネットを多くの目的で利用しています。健康に関する情報、スポーツ番組に関する情報も、インターネットでとることができます。ちょっと特殊なことでは、NASAの宇宙計画に関する情報を得ることだって可能です。今回、一緒に来たトムは、NASAの機関紙をインターネットで読んでいます。日本の宇宙計画についてもネットの中のライブラリで調べられます。実際に米国のシニアがどれぐらいインターネットを利用しているかは分かりませんが、非常に広く普及していることだけは間違いありません。

 シニアにとってコンピューターは難しいことが多すぎませんか?
ドロシーさん
 日本のシニアにとっては、もっと難しいでしょうが、米国のシニアにとってもタイピング(キーボードを打つこと)が不得意です。なかなかうまくやれないので、多くのシニアが一つずつキーを押すようにして使っています。そんな問題もあって、途中で関心を失ってしまう人も多いんです。コンピューター教室に通い始めても、30%の人は続けられずにやめてしまいます。

 続けられるのは、どのような場合ですか?  
ドロシーさん
 大体50%前後はなんとか定期的に通い続けるようです。その場合、やはりシニアがコンピューターを学ぶのを、助けてあげる環境があるかどうかが重要です。私も、教室では先生ではなく、「ヘルパー」となって、援助してあげられるように心がけています。
 教室では難しいことをやるのではなく、ある人はグラフィック、ある人はインターネットだけというように、その人に合わせて、なるべく広げないで学ぶことが大切です。表計算ソフトのような面倒なことは、無理してやらなくてもいいんです。私はグラフィックと電子メールが好きです。

 コンピューターを長時間使うと、目に悪い。肩も凝ります。
ドロシーさん
 難しい問題ですね。確かにシニアにとって使いやすいコンピューターは米国でも見たことがありません。本当にシニアが使いやすいものにするには、複雑な操作を必要とするものではなく、単純さ、が重要だと思っているのですが…。私の知人は「コンピューターは高齢者の健康に良くない。コンピューターを使うときは、しょっちゅうストレッチしなければならない」と、いつも言ってます。

 初めてコンピューターを使おうとするシニアにアドバイスするとしたら?
ドロシーさん
 まず興味を持たなければなりません。コンピューターを学びたいという意欲がないと、始めても長続きしないし、面白くないですよ。シニアが今、インターネットをどんどん活用していることからも分かるように、コンピューターやインターネットによって、シニアの生活は、楽しくなるし、便利にもなります。でも肝心なのは、コンピューターやインターネットは、あくまで生活の一部であって、それが目的ではないということです。
 沖縄で、バナナの繊維を使って民芸品を作っている人は、コンピューターを知らなくても、どうということはありません。大切なのは、ひとつのことに情熱を傾けられるかどうかです。人の幸せはそういうことで決まるのだと思います。シニア世代も、コンピューターの前に座っているだけでなく、どんどん外に出て、いい人間関係を築くことが重要です。

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