【simpo002】
緑川:
 ご紹介いただきました緑川でございます。私は仲間、約20名位なんですけども、こ の人たちとパソコン教室を運営している訳ですね。先程タルタリーノさんのお話しを聞 いて、アメリカのやり方、と、まあ日本のやり方の中でもですけども、私たちが今まで 苦労してきた、あるいは考えていることが非常に似ているということで、意を強くして おります。
 もちろんこのお話って言うのは今皆さんと聞いたばかりのところで、ここの中の感 想も前に見たんじゃないかって言われるかもしれませんけれども、これは正直私たち が、これは私の前任の代表者から受け継いできたもの、これを継投してやってきており ますけれども、この6年間の実績の中から私たちが掴み取ったもので、私たちが作り上 げたものだっていうことでご理解いただきたいと思います。
 最初に、丁度私たちの年代っていうのは、会社人間でしたから、働きバチのように働 いて、その他のことっていうのは何もしなかった訳ですね。ですから、定年になった ら、毎日が日曜日、これはいいなあーって思っていて、いざ定年を迎えたらどっこいそ うでもなかったわけですね。

 というのは、それまで非常に充実した40代、50代のと ころを過ごして来て、ある日60歳になったら、一日超えたら、はい、おしまい、って いうふうなことでほっぽりだされる訳ですね。
 そうすると家庭の中でも居場所がありま せんし、出ていったら俺は何してきたんだろうっていうふうに、ブラブラしているのが 退屈に思えてくるわけですね。私もそうだったんですけども、ボランティアの世界って いうものに足を踏み入れて、まだまだ元気だわいってわけでこのパソコン教室をやりだ したわけです。

 私たちの年代になりますと、パソコンを扱う人間っていうのはそう多く ないんですけども、そういうふうな人たちがやはり会社の中で50代にいろいろ培った 経験をもっているとか、言ったら、それをそのまま60になったからってほっぽりだす のは、なんか勿体無いわけですね。何かこれをもうすこし人のためにお手伝いする、ま たは何か役に立てることはないだろうか、というわけで、だんだんだんだん集まって来 て、当初に言いましたような、現在の20名近くの人たちのほとんどがシニアの世代な んですね。
 この人たちがやはりシニアの人たちに対して、いや、というのは、若い人た ちはなんぼでも他にやることあるんですよ。やってくれるところもあります。また追い ついて行けるところもあります。だから、そういう人たちは相手にしません。

 で、私た ちは、先ほどタルタリーノさんのお話しにもあったように、結局はシニアとしてどうい う風にやっていくかということをシニア同士が一緒になって悩みながらやっていくって いうような教室の形式、それを模索してきた訳ですね。
 そこの中で私たちが考えたのは、受講者の能力、それからペース、能力って別に悪い 意味じゃないんですけども、やはり十人十色でゆっくりやりたい人もせっかちな人もい ろいろありますから、そういうふうな人々個人個人の能力とペースに合わせてやれるこ と。それから、受講者の多くは、息子が置いていったとか、娘がプレゼントしてくれ たっていうふうなパソコンをお持ちなわけですね。

 そして、その息子さんとか娘さんと か、やってたのが三年前とか五年前とか、丁度ウィンドウズ95が出てきた時にそれを 使い出したっていうようなことが、結構あるんです。それと、そんな古くなくたって、 今から2年前っていうと、ウィンドウズ98になるわけですね。
 ところが、現在は先 ほどタルタリーノさんが言ったように、最近の機械を買ってくると、XPがあるわけで す。それじゃXPでやっていって、ウィンドウズ95の人、あんた駄目だよ買い替えな よ、ってほっぽりだすわけにはいきません。ですから、その受講する生徒さんのパソコ ンの環境に合せた教習会ができるように私たちは考えています。

 ウィンドウズ95から 98、それからMe、XP、どれにも対応できるように、教室の中はバラエティに富んだ機 種構成を持っておりまして、そこの中にソフトだけは最新のものを積み上げている、っ ていうやり方を取っているわけですね。ですから、OSがいくら古かろうが、機械が古か ろうが、そんなことおかまい無しです。というのは、受講する方々は必ずしも最新のも のを持っているわけではないのですね。
 それともう一つ大切なのは、皆さん方パソコンをやりたいと思ったら明日からやりた いんです。ところが町の中のパソコン教室は、4月生募集、10月生募集、というよう な、時期が非常に限定されていることなんです。私たちは明日からやりたいんだったら 明日から、来週からやりたいんだったら来週から、いつからでもいいですよっていうふ うな、スタート時間が決まってないわけです。そしていつで終わるか、これもきめてお りません。
 というのは、ここまでやりたい方とここまでやりたい方と、こういうふうな広い範囲 をやりたい方、いろんな要求があるわけですね。それだったら、やりたいことをやりま しょうよ、っていうのが、私たちの提案なんです。
 で、今いったようないろんなやり方を取れるのは、どうするかっていうと、結局はマ ンツーマン教育になっていくわけです。そうすると、お一人ずつ受講者に対して私たち は、先ほどタルタリーノさんはアメリカではコーチという呼び方をしてましたけれど、 私たちはサポーターというような呼び方をしております。

 インストラクターとは呼んで おりません。サポーターっていうのは、結局受講者が勉強していくことを脇から支えて いくこと、これがサポーターの略ですから、私たちは全部、全員がサポーターという名 前で呼び合ってますし、また、みんな名前持ってるんですから、生徒さんからは先生っ て言われることを拒否しております。

 私名前あるんだから名前で呼んでちょうだいよ、 というような言い方をしておるわけですね。そしてお互いが同じレベルに立って一緒に やってきましょうよ、って、こういうふうな呼びかけをしていくのが私たちの教室の モットーになっております。
 で、教室というのは私たちの活動の一部ではありますけれども全部ではありません。 そのほかに教室に来れない方、特にこれはNPOの方、行政からの依頼があったものとか いうふうに限定はしてるんですけれども、そういう方のところに出かけていって教室を 開催する出前講座を持っております。

 それから、パソコンを集めるのは、やってるの は、先程のサポーターだけじゃないんですね。人に教えるところまで行かなくたって、 自分でいろいろ楽しむことをやってる方がたくさんおります。そういう人が40名ほど 集まったのがPCサロンというもの、そこの司会の山崎さんはそこの代表をやっているん ですけども、この40名がメンバー制でメーリングリストを構成しておりまして、そこ でいろんなメールのやりとりをする、あるいは相談、自慢話をする、そういうことを やっております。
 で、この会員制の他にもう一つオープンのメーリングリストを持っております。これ は「お茶の間ネット」っていうんですけども、私どものHPから参加を申し込むことがで きます。そうやって、現在は160名の方がこのMLに参加してくれてるわけですね。

 その他にもいろいろ実験的なことをやっております。九州のシニアネット久留米とMLを 開設しております。それと、昨年半年間でしたけれども、アメリカのシニアネットと、 日本人は日本語で話をする、アメリカ人は英語で話しをする、そしてその間をお互いの 通訳が入っていって自分の言葉で話し掛けをして自分の言葉で返してもらう、そういっ た試みもやりました。

 これは、昨年12月で終了はしておりますけれども、この中でも 大きな収穫を得られました。この次何をするかってことはこの先にまた出て参ると思い ます。
 それと、去年の夏に東北学院大学からボランティアの実習をやりたいから受入れて欲 しいってことで、10名の学生さんを私どものところに受入れました。で、そのうちの 6名はパソコン教室でお預かりしたんですが、私たちが思っていた以上に茶髪の学生た ちが一生懸命にシニアの生徒さんに対して教えてくれるんですね。

 終わった後背中が びっしょり汗かいているんです。あんた、自分の親にこんな説明したことある、って 言ったら、いや、ありません、って言ってね、だけど世に出ていった時の学生さんの真 剣さっていうのは、私たち大変フレッシュに感じましたし、意外な面で、あ、うちの息 子も外に出ていったらこんなにしっかりしているのかしら、っていうふうな目で彼らを 見ておりましたし、また頭のさがる思いにさせられたこともありました。
 もう一つは、東北福祉大学から、仙台市のIT講習会の中の視覚障害者対象の部分を大 学でやるんだけれどもサポーターがたりないからシニアネットで手伝ってくれないかと いう話がありまして、で、昨年9月から始まってこの1月まで、ここは延べの人数から いうと110名、時間で400時間、これだけのお手伝いをしました。

 その中には手足 に不自由を持っている方、目、耳に障害をお持ちの方、それに精神障害とかあるいは知 的障害とか、いろんな方々に対して我々がどんなお手伝いができるかっていうことを勉 強したいという思いもあったものでお手伝いしてきたわけです。
 そこで、私たちが考えたこと。シニア世代って言うと、やはり障害者に一番近いとこ ろにいるわけですね。私だってあと10年経ったら手がぶるぶる震えるかもしれません し、目も見えなくなるかもしれませんし、耳も遠くなるかもしれません。

 そういった時 に、どういうふうにITと向き合おうか。そういったところからすると、シニアにとって パソコンというのはかなりの武器になるんじゃないだろうか。
 で、ここで言いますのはパソコンを使って何をするかっていうことは別の論議にした 方がいいんじゃないかと思いますけれども、ただ私のところに来られる生徒さんたちの 3割くらいは、子供さんと、お孫さんと電子メールをしたい、あるいは留学している自 分の子供と時差の関係で電話できないから何か良い方法を、何か電子メールっていうの があるそうですけども、っていうふうな言い方をしてこられた方が結構あるんですね。
 そういった時差のあるところをお互いがお互いの都合のいい時間を見つけてそこに書 き込むことによって、しかも市内料金ですよね、電子メールっていうのは、そういうふ うなことでやれるってことは何て素晴らしいことかっていうのはありますし、それから ウェブで自分の知りたいことを探すっていうこともできますし、だから、これはやらな いって手はないって話しが先程もありましたけれども、私もそう思うわけですね。

 ただ、やはりパソコンを覚えたいっていう人が、100人の内10人いるんだろうか、あ るいはもっといるんだろうか、そういったこともこれから勉強していかなきゃならない ことは事実なんですけれども、やはりやりだしたら絶対にはまる、っていうことは皆さ んお分かりいただけないかなー、って思ってます。
 ただそのために私もひとつ、これは業界に対してはずっと言ってるんですけれども、 今みたいに七面倒くさい操作が必要なんじゃ困るんですね。ですから、テレビとか洗濯 機とかと同じようにパソコンが言うことを聞いてくれて、何も習う必要がないような、 結局はパソコンやるっていうことは文字入力がラーニングの半分は占めているんですけ れども、どうしてもキーボードのあの不規則なところを探っていかなければならない。

 で、今は皆ローマ字変換だよなんて言われると嫌気がさしてくる人が結構いるわけです ね。そういう方はカナだっていいじゃないですか。メーカーだって50音のキーボード を作ってくれたっていいじゃないか、って思うわけです。
 これから先に、そういった50音でも入れられるよ、あるいは口で言えばちゃんとそ れを答えてくれるようなパソコンっていうのが何年か先には出てくるような気がしま す。そうやって、結局はシニアとITなんて言わなくたっていいような時代がくることを 望みたいと思っています。よろしくお願いします。