07年問題の虚構
大内秀明
新年早々、来年の話をするのは気が引ける。「2007年問題」である。1947−49年生まれの「団塊の世代」が、順次定年を迎える。それにより企業の雇用や年金問題に影響の出る問題だ。
楽観論と悲観論があるようだ。悲観論は、大量定年により社員の年齢構成に穴が開き、技術の継承も出来なくなる。高齢者が増え、雇用が一層困難になる。また、年金支給も増え、問題が深刻化する。
楽観論もある。定年を迎えた自由な労働力が出てきて、安い賃金で良質なシニアを雇える。年金を受け取りながら勤務する「年金併用型労働者」が新しいマーケットを提供する。
NPO、特にシニアNPOにも期待が寄せられている。NPOが、団塊世代の高齢者雇用の受け皿になってもらいたい。安い賃金で自由に働いて、年金の財源不足を少しでもカバーして欲しい。シニアNPOへの期待である。
昨年来、東京のシンクタンクやマスコミから、「シニアネット仙台」にも何回かアンケートや取材申し込みが続いた。今年は、さらに取材が増えそうである。
楽観論と悲観論の両論に対して言えば、わがシニアネットの立場は、中間であり、楽観も悲観もする必要がないと思っている。もっと言えば、「07年問題」をマスコミと一緒に騒ぎ立てる必要が無いと考える。
なぜなら、大量定年と言うが、そもそも定年制そのものが崩壊しているからだ。定年制は終身雇用が前提になってきたし、終身雇用はまた、年功序列の賃金制度が裏づけだった。
しかし今、こうした日本の企業社会が崩れている。非正規社員、短期の転職、成果主義など、定年制、終身雇用、年功序列の3点セットを崩壊に導いた。
高齢者雇用安定法の「定年延長」だって、結果的に定年制を崩す効果しかない。このように崩壊している定年制を前提にして、いまさら団塊シニアの大量定年を論ずるのは、なんとも虚妄な話ではないか。
われわれシニアNPOは、すでに定年制の崩壊による元気なシニアのボランティア活動によって、日本社会の活力を取り戻す使命を持ってきた。この使命=ミッションにより、介護や治療の社会的負担を少しでも減らし、健康で文化的なシニア・ライフを創造する、そして地域の福祉社会を活性化する。
団塊シニアの増加は、元気なシニアが増えるだけだ。仲間たちを迎え入れる受け皿を準備することが必要であっても、すでに10年の歴史を生き抜いてきたシニアネット仙台の活動を変える必要は無い。
70年代、大量の団塊世代が、中央から地方へUターン、Jターンした。「地方の時代」の虚像が生まれた。しかし80年代、ポスト団塊世代は、Uターン・Jターンが減少、「地方の時代」の幻想は消えた。団塊の量的増加の一過性現象に惑わされてはなるまい。
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