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| 来し方の秘事をおさめし袋棚振り返らぬと施錠せしまま |
小町 |
| 只一度映画を共に見し君の訃報に接す秋雨の夜 | 逸朗 |
| 秋霖の街に足止めていくばくの硬貨を落すあしなが募金に | 直枝 |
| 佇みて父と娘が見る十三夜脈々と打つ時空の世界 | 章 |
| この秋も力尽くして色染めし木の葉ひとつひとつ散りゆく | 葦乃 |
| 太き蠅を女郎蜘蛛からめ食べている吾が家の窓はひとつ修羅場に | 勤 |
| 恍惚とした平和はすでに地球からちりぬるを和歌となりにけるかも | シン |
| 冬近し芝草に立つカマキリの飛ぶ虫もなく孤独のあわれ | いさむ |
| 散居村の名残りは今も朝影の刈田に墓碑の群れて並べる | 逸朗 |
| 変声期の少年の所作のあやふげに低き声もて吾にもの言ふ | 直枝 |
| かっきりと輝るのはシリウス天狼よと冬を語りし妻はどの星 | 勤 |
| 高層階ノックもなしに鳩が訪ね網廻らして我冬籠もる | 小町 |
| 駆け上り龍馬に急を告げしとうお龍偲びて踏む裏梯子 | 葦乃 |
| 黄金焼食みつつ思う昔日のものなき時代は夢の多かり | いさむ |
| 風の止まる一瞬ありて狼狽する間隙抜けてウィング走る | シン |
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