シュミットさんにならない法
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シニアネット仙台 会報へのお誘い(平成16年3月号)

シュミットさんにならない法/佐藤 和文


 シュミットさんをご存知ですか?「アバウト・シュミット」という米国映画の主人公です。俳優ジャック・ニコルソンが見事に演じました。家庭でも地域でも、徹底して孤独な退職間もない男性が苦悶し、戦う物語です。

 シニアネット仙台は平成7年8月12日に発足しました。約400人が発足総会に駆けつけました。シニア世代が自ら役割を果たすことで、より充実した高齢社会を目指すという、シニアネット仙台の理念がその場で決まり、市民組織として歩み始めたのでした。

 シニアネット仙台の設立に動いたのは市民団体のリーダー、研究者ら。彼らは仙台市と河北新報社が企画した「米国高齢社会市民調査」に参加しました。一行はロサンゼルス、マイアミ、ウィスコンシン州など各地を訪問しました。後に「サロンわいわい一番町」のモデルとなる各地のシニアセンター、政府でも企業でもない立場で社会を支えるNPO(民間非営利組織)の存在、ボランティアした時間を物やサービスに変える、まるでマジックのような時間預託の仕組み、「シュミットさん」を生み出さないようにと、シニア世代を支援する官民の制度や仕組みなど、米国の高齢社会の様子は刺激的でした。

 特に子育てや家事など、家庭での役割を終えたシニア世代や退職者が、ボランティア活動を自分の暮らしにうまく取り入れ、生き生きと自分を語る姿が印象的でした。

 当時の日本は、高齢者といえば「社会的な役割を終えた人々」ととらえる傾向が強かったものです。旧厚生省の高齢化問題チームが「老人」でも「お年寄り」でもない「高齢市民」という新語をわざわざ考案し、報告書に盛り込んだほどでした。

 「米国各地で目にしたシニア世代の生き生きとした暮らしぶりを、日本でも始められないか」。そんな思いにかられた有志がシニアネット仙台結成に向けて動き出したのでした。突き詰めていえばボランティアの世界ですが、掲げた理念を実際に作り出していくのは至難の業です。

 だれから言われるわけでもなく自由に振る舞いながら、多くの人々と目標を共にし、成果を出す。そんな環境はボランティア以外にはありません。特に日本のシニア世代にとっては「未体験ゾーン」に近く、「シュミットさん」予備軍も数多く存在します。シニアネット仙台をよりどころとして生まれる、さまざまなシニア世代の現場から「シュミットさんにならない法」が多数生まれることを願っています。
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