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連載「東京日和・見」B
 三月三日「女たちの雛祭り」は私の卒業式だった

写真右が木村民子さん。
1997年、デンマークの高齢者集合
住宅を訪問した際に撮影

 木村民子さん(「高齢社会をよくする女性の会」運営委員)



 今回は私が八年余り関わった仕事が終了するので、やはりそのことを一くさり。

 三井海上ライフデザインラボの事務局に入ったのは、「編集とイベント制作できる人で、PTA活動みたいなことが好きな人いない?」ということで、私に白羽の矢が立ったのがきっかけだった。もっぱら私のリクルート係ともいうべき友人からの紹介だった。気の多い私はライター稼業に飽きて、一時ある女優さんの事務所で舞台制作や広報宣伝業務の見習いをしたことがある。PTAなら、娘の幼稚園会長に始まって、息子の高校までキャリアを誇る。「それって私にぴったりの仕事」と即、私は決意した。

 事務局に入れていただいて、確かに主婦たち会員に関する部分はぴったりの仕事ではあったが、なれない企画書を書いたり、間に入る代理店との形式的な打ち合わせや、会社という組織への対応にとまどったり、枝葉の部分で消耗することが多かった。  しかし、最後のセミナーは女同士で華やかに飾りたかった。題して「ラボに大集合、女たちの雛祭り」。第1部は、今輝いている女性たちに、それぞれミニ講演をお願いした。エッセイストの真島久美子さんは四十代になったばかり、三井マリ子さんは私と同じ団塊世代(大学も同期の桜)、吉武輝子さんは私の敬愛する大先輩、皆さん日頃から親しくしている方々で、私の依頼に快くOKしてくださった。朝日新聞や毎日新聞にも紹介され、一般の方の参加もあり、当日200名の会場は女性たちで埋まった。(今東京でも平日200名の動員は難しい)

 真島さんがトップバッターで、主婦・母の立場から地元の保育園問題を糾弾し、三井さんは威勢よく北欧の女性たちの社会進出ぶりを概説し、日本女性たちへ具体的なアドバイスをしてくださった。吉武さんはマイクをハンドに変え、舞台狭しと動き回りながら高齢女性のパワーアップした生き方をユーモアたっぷりに語り、会場をおおいにわかせた。私が企画した意図、つまりこれからの少子高齢社会と男女共同参画型社会における女性問題についてそれぞれの方が熱いメッセージをくださったのだ。

 第2部は会員たちによる1人2分間の「わたしのぷれぜんてーしょん」。ラボとの出会いで人生が変わったとまで言ってくださる会員たちの言葉はより身近に感じられ、刺激的だった。壇上で立派に発言する会員たちを見て、女性の底力を感じた。

 さてさて、盛り沢山のプログラムの第三部は、波瀬満子さんのパフォーマンス「女たちに贈る詩の花束」。いろいろな詩人の愛の詩を身振り手振りを加えながら演じる。実は私はこの方の事務所でイベント制作の修行をしていたのだ。波瀬さんもそのよしみで、音響も照明も不備な会場に関わらず、熱演してくださった。

 最後に会社から事務局へのねぎらいの言葉までいただき、会員から(夫からも!)花束が贈られ、年とって涙もろくなった私は、もう目がうるうる。司会をしてくださった会員も涙声。会場の人もしんみり。なんだか卒業式のような雰囲気になってしまった。「いつでもリスターティング いつまでも素敵生活」にこめられた思いのように、その日はお別れと旅立ちの日だった。


木村民子さん略歴
 大学卒業後、出版社編集部(潮文社)勤務、現在、「三井海上ライフデザインラボ」チーフディレクター 、「高齢社会をよくする女性の会」運営委員等
 著書『私の一歩を始めたい』『女が素敵な子どもの本』
 


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