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デンヴァーの風
その32 ミミズに幸あれ 秋山晃通
【日米シニア井戸端会議 関連特集】
米国コロラド州デンヴァーの秋山晃通さん(74)からエッセー「デンヴァーの風」が届きました。秋山さんは、シニアネット仙台運営しているシニアのための電子メールコミュニケーション「日米シニア井戸端会議」に参加しています。エッセーは不定期で続きます。 |
来春には、孫達がマット体操でも真似られるような緑の絨毯といえる芝生の庭にしたいため、私は、今年の九月から雨天で無い限り毎日、雑草除去と土壌掃除に取り組みました。推察するに、以前の住人は十五年間、芝生手入れを怠ったようです。写真で解ると思いますが、連日数平方メートルづつの文字どうり手作り作業でした。(一日、1〜3時間以内の作業)
単調で、無駄に思える仕事です。スコップで掘り起こした深幅、約17cmの雑草の根が絡んだ土塊を、小シャベルと掌でほぐします。このバカらしい労働を楽しくさせてくれたのは、春の芽吹きの歓喜と、夏空の下、孫たちが子犬のように遊ぶ姿を思うことでした。
そして、もう一つの予期していなかった事を体験しました。それは「ミミズ」を菜園に移住させることです。平均、一日で二十匹を、固い土と雑草の根しかなかった棲家から、生ゴミがたっぷりと混ざっている場所に引越しさせてやりました。掘り返し、土塊を解すとき、大小のミミズが安眠から突如起こされ驚いて、にょろにょろとのたうちます。
「...我は神様ぞ!お前はラッキーな奴じゃの!これからは栄養豊富で子孫を、幾らでも増やせるところに移転じゃ......」
来春の種まきを待つのみの菜園の端から、等間隔に小さな穴を支度しておいて、親子とおもわれるやつを一緒にいれてやりました。あるとき土に、なまなましいピンク色の小さな塊が出ました。手袋を外して、そっと指で摘みましたら、それはミミズが小間結びになっていました。それも三度結びになり、自らの蠕動ではほどけないようでした。一度結びの奴は時どき見ますが、これには苦笑しました。きっと、もがけばもがくほどに、かかる状態になったのでしょう。
千切れないように楊枝の先と指を使いほどいてやりました。結び目のところは細く縊れ、先端は膨張していましたが、数分のうちに本来の姿にもどりました。
こんな暢気な作業は、私の足腰にもよいのです。5分以上、屈んでいると、膝や腰が詰まります。しかし、ミミズは不思議と3〜5分間隔で顕れます。面倒でも、その都度、菜園まで運び、例の穴に入れてやります。庭の地表が15〜30度と少し傾斜していますから屈み作業は、踝、脹脛にも微妙に体重の負担が懸かります。最初の一ヶ月は筋肉の異常を感じましたが、二ヶ月に入るころには慣れました。きょうは十一月十日です。約二ヶ月で雑草除去は終わりました。そして、約弐千匹の「ミミズ」が新天地への移住で、いまごろ子どもをたくさん産んでいることでしょう.......。
◇ ◇
ミミズのおかげで、こんな自由詩が生まれました。(ロサンジェルスの日刊紙『羅府新報』「ポエムサロン第25回」に秀作?として掲載されました)
み み ず
雲 海月
みみずは弱い生きものだ
ときおり夕焼けを仰げば
すぐ小鳥に食われてしまう
地表も地中と同じと信じてる
我が身を守る武器もない
およそ戦うことを知らない
こんなみみずに
私は なぜ惹かれるのか
かれらは地球における
自分の弱さ立場を知っている
溶岩で仲間は焼かれても
氷河に冬眠させられても
洪水でながされても
世界中の大地に住みついて
太古から
進化もせず退化もしない
人と野獣が撒いた汚物ほど
嬉々として繁殖し
腐敗を浄化し新生源をつくる
耕作で切断されてしまう
抵抗もせず 逃げもしない
この弱さにかくれたこの強さ
黙々と復活する
これは いったい
なんだろう
いま いま いま
これほどすごい希望を
わたしは
ほかのものから
見いだすことができない
(続く) <戻る><Top>
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