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デンヴァーの風  その30 萩や芒やお月さま 秋山晃通


【日米シニア井戸端会議 関連特集】
 米国コロラド州デンヴァーの秋山晃通さん(74)からエッセー「デンヴァーの風」が届きました。秋山さんは、シニアネット仙台運営しているシニアのための電子メールコミュニケーション「日米シニア井戸端会議」に参加しています。エッセーは不定期で続きます。

秋の花壇

 コロラドの秋は、いきなりやってきたように感じます。菜園の手入れなど夏場は、蚋などに頭髪の上からでも刺されたものですが、9月に入りましたら雲霞のような昆虫はきえました。

 このひと夏、裏庭で紫を誇った朝顔の小鉢を、日当たりのよい軒下に移すため手にしましたら、見事な姿態の「エンマコウロギ」が一匹じっとしていました。突然、直射日光に曝されて目が眩んだのでしょう。そっとつまんで、ペチカ用、焚き木山の麓に置きました。跳ねるかと期待したら、ゆっくりと暗い隙間に這入って行きました。「今夜も、青い月の光が庭を照らすから、焚き木の影で鳴いておくれ…これで、ここも秋となったか…」と。

 昭和15年ごろ、下町の「鳶のおじさん」から教わった花札に触れる指の感触と、「萩」「月」の図柄が連想で湧き出ました。夕方も近いし散歩にでたくなりました。やはり見つけました。小さな公園側のグリーンベルト突端に枯れかかったミソハギ(禊萩)の仲間が余波の青さを風に任せていました。
 みそ萩や水につければ風の吹く   一茶

 湖沼の縁や湿地帯には、薄の仲間が群棲していますが、一般住宅の玄関脇に写真でみるような具合に意識して植え、しかも「ススキ」と並べて「花虎の尾」の仲間を植えたりと…。この家の住人の、笑顔に会いたくなりました。だって、こんなとりあわせは、私の記憶にはありませんもの…。大正から大戦勃発まで歌い継がれた『船頭小唄』(野口雨情 作詞 中山晋平 作曲)のメロデーと歌詞が湧き出ましたが、すぐ消えて、私までニヤリとして夕陽に眩しいデジカメの画面に手翳しして見つめました。

 米国人の大半は寂しさ、単調、静寂などに心を任せることが辛いのか、苦手なのか、きらいなのでしょうね…。「池の坊」の境地とやらは華道としては楽しむ中年の白人オバサンを知っていますが、庭園に、日本人好みの自然を基調とする風情を愛する人は、一部の芸術家は例外として、一般庶民ではめったにはおりません。老境に入った大金持ちが、桃山時代のような庭園を創ることがコロラド州でも流行っていますが、大衆は明るいものが好きです。吾が家の二軒隣の庭は、春夏とも写真のごとく、もう10月なのにご覧のような華やかさであります。これらの花が、いつまで晩秋の寒気に耐えられるか興味はつきません。
(続く)
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