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デンヴァーの風  その24 木彫り 秋山晃通


【日米シニア井戸端会議 関連特集】
 米国コロラド州デンヴァーの秋山晃通さん(73)からエッセー「デンヴァーの風」が届きました。秋山さんは、シニアネット仙台運営しているシニアのための電子メールコミュニケーション「日米シニア井戸端会議」に参加しています。エッセーは不定期で続きます。



 私は、一年前にロサンジェルスから移転してから、当地に慣れるに従い散歩のルートは増えるばかりです。まずは、地図をよくみてから天候に合わせた服装で出かけます。3月ごろから白い花を咲かせる樹木に興味が湧き出し、冬季には、ほとんどしなかった散策は一段と楽しいものになりました。

 St.Patrick's Dayころには思はぬものに目がとまりました。写真でみる「木彫り」です。二、三十年前には大木が枯れかかっていたのでしょう。そのころ住んでいた木彫り愛好家が、思い切って幹を残して写真でご覧のような彫刻を楽しんだようです。一回目の出会いは歩きながら観賞し、二回目は、デジカメで撮影して、そばに寄って触れてみました。三回目は製作者に会いたくなりベルを押しましたが誰もいないようでした。

 4月20日は、市営GYMまで行くのに、準備運動と木熊さんに挨拶を兼ねて午後3時ごろ出かけました。木彫りの庭の前にきましたら、中年の夫妻、高校生らしき娘二人、小学生の男の子が二人遊んでいます。私は、道路から丸見えのガラージ入り口で電気鋸の側で作業している人が主人(木彫り製作者)と思いましたので、腕を上げながら、家族達に笑顔を向けながら近ずきました。

 「ハロー!よい天気ですね...私の名前はアキヤマです。AKIと呼んでください。この近所に去年引っ越してきました。枯れ大樹を活かした庭の熊やリスは貴方が作ったのですか?よく出来ていますね......」

 家族全員が、にこにこしながら私のそばに寄ってきました。「いや、あれは以前住んでいた方が作りました。私たちも、この彫刻が気にいりましたのも、移転条件のひとつでした。楽しいでしょう......」と言いながら熊のそばにゆきました。

 「裏側や、ところどころ雨にやられ、割れてきていますね...補強剤か防腐剤などを塗り込んだらどうでしょう......」 数箇所にセメントで補強されています。「そうです、これ以上、壊したら可愛そうですからね......数年前までは、もっと楽しい姿でしたよ。そう、そのころの写真があったと思います。探して来ますから、ちょと待っていてください」3分ほどしたら古い少し破れた写真を一枚もってリビングルームから出てきました。

「これは、貴方にプレゼントします!」
「ありがとう!友人に木彫り愛好家がいますから、インターネットで見せてあげます」
 別れぎわに彼は私に問いました。
「あなたは、たぶん、日本人でしょう?」
「Yes! I'm Old Fashion Japanese American」

 写真で御覧のとうりです。現在は、玄関の表札などにも、そのなごりは生きています。カルフォルニアでも、このような木彫りを見たことがあります。市の公園や、上流住宅の庭にある本格的なプロの創ったものにも感嘆しますが、私は、中流一般家庭のアマチュア彫刻家が創ったものに興味が一段と湧きます。下手なところがあればこそ、その奮闘姿が彷彿としてきます。作者の気持ちや苦労を超越した「創る恍惚」が伝わる感じです。
(続く)
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