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デンヴァーの風
その20 草月コロラド支部 秋山晃通
【日米シニア井戸端会議 関連特集】
米国コロラド州デンヴァーの秋山晃通さん(73)からエッセー「デンヴァーの風」が届きました。秋山さんは、シニアネット仙台運営しているシニアのための電子メールコミュニケーション「日米シニア井戸端会議」に参加しています。エッセーは不定期で続きます。 |
3月5日の朝は、牡丹雪による白銀世界でした。その日の朝で「冬よ、さようなら!」とばかりに、快晴のランチタイムには燦々たる陽射しとともに、初夏の風が吹きはじめ、デンヴァー界隈は一気に春風が吹き始めました。先週など、早朝は2℃ほどで昼間は26℃までになる日がありました。
平成16年3月18日から21日にかけて、デンヴァー市の大コロシアムに隣接するバスケットボール試合用、観覧席付きの巨大ビルで、第18回草月コロラド支部展が意気軒昂なところをみせました。草月コロラド支部では年4回、誰でも参加できるワークショップを開催していますが、今回の企画は前例のない大掛かりなものでした。草月展という核に吸い寄せられた、絵画屋、小物屋、衣料屋、健康器具屋、華道に必要な小物屋などと、草月会場隣の大部屋には、大小まぜて約450店がブースを個性的に生かしていました。
草月展では各会員の作品のほかグループでの大作もあり、毎日、師範(白人もいます)が交替でデモンストレーションを行い、土、日曜日は琴、太鼓のエンタテイメントも催され日本文化の人気の深さに、私は胸が広がる喜びをあじわいました。最終日には、会場は米国人がたくさん見えて大盛況で無事に展覧会は終わりました。
私の撮影したものには、会場全体の雰囲気がとれませんでした。とくにバスケットコートに仮施設した「GARDENS LANDSCAPE」の7つの宣伝庭園は、大きすぎ黄昏時の彩光で、私の愛用デジタルカメラでは無理でした。その日本庭園(巌、大中小の石を配し、小さな滝、遣り水などをアレンジしたもの)を、そぞろ歩きし、しばし佇みましたら米国にいることを、いっとき忘れてしまいました。
7つの設計、細部が異なる庭園ですが、共通しているのが小さな滝と松を使っていることです。2,3の業者は精巧なプラスチック製の巨大な熊や鹿も置いていました。渋み、さびなど老境感覚の石と巌の小さな滝、飛び石、石の板橋などとせっかくの小路の両側に竹を裂いて弓なりにした柵を配していただきたいが、彼らは春夏に誇る赤、黄の派手な草花を沿えていました。そういった感覚が米国人の朗らかさか?
草月流は、そのあたりを熟知していると感嘆しきりであります。
まあ、植物(種類、優雅、年期を含めて)の配置は、京都などのそれには劣りますが、米人の金持ちは「古神道」の境地に憧憬していると私はみました。
遣水のこのごろ音のきこえぬは山の紅葉の散りつもるらし 良寛
とても、こんな詩が湧くような環境は国土風土の違いで無理ですが、日本文化の華道、盆栽などが理解できる米人が多くなっていることは、世界平和実現のための土台を作っていると思いました。
約20〜30坪の日本庭園をコロラドの一般家庭の裏庭に割り込ませるのに費用は約1〜2万ドルかかるそうです。その庭園師も企業も米国人ということにも驚き、かつ、これがビジネスになるコロラド州とは、なんと余裕のあるアメリカ人の多いことよ!溜息がでました。庭園業者の宣伝文を原文で載せます。
Landscape Design Plant Materials,Pots,Flowers
Sprinkler Systems Walls, Walks, Patios
Pools, Fountains Water Features
華道、草月流というのは、一般米国人の感覚に適合していると私は感じました。私の叔父(吉岡晋月)と母は「池の坊」の師範でしたから、門前の小僧ですが、初めて日本で草月の展覧会に接したときは、ピカソか岡本太郎さんの落書きを見せられた感じでした。
しかし、今では、流派に関係なく、どなたが創作した作品を見ても、それなりに、その人の心境を洞察することが面白いと思うようになっています。草月コロラド支部の会員80余名は7割白人(女性がほとんど)で日系が3割といったところです。若い会員が少ないのが残念です。戦前、私の家に毎月、集まるお弟子さん5〜6名は、花嫁修業中の妙齢、和服姿を競う美人ばかりだったという記憶です。
ともあれ、華道、茶道、日本食、和室などが米国人に浸透しています。米人でも「池坊」が好きだという人もいます。ほんとうに米国には、いろいろな人が住んでいます。
★今、コロラドは28日の正午ですが、2日前までの初夏の陽気は、突然、変わり、なんと牡丹雪が舞い降りだしました。数百メートル遠望は真っ白です。明朝までに、どのくらい積もるか?やむか?お天気次第! "天の気"とは、昔の人は「ことば」を作るのがうまいですな......。
(続く) <戻る><Top>
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