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デンヴァーの風 その13 コロラドのKARATE 秋山晃通


【日米シニア井戸端会議 関連特集】
 米国コロラド州デンヴァーの秋山晃通さん(73)からエッセー「デンヴァーの風」が届きました。秋山さんは、シニアネット仙台運営しているシニアのための電子メールコミュニケーション「日米シニア井戸端会議」に参加しています。エッセーは不定期で続きます。

 私の、孫娘が通う公立小学校、課外活動の一つに空手コースがあります。当地の空手道場で心身の鍛練に励んでいる二十五歳の、黒帯び白人男性二人が無報酬で指導しています。満五歳から十一歳までの、男女約百名が、週二回各45分間、校舎の総合体育館で可愛い気合声を張り上げ基本から練習しています。
自己に自信をもつために
精力善用
 まず、気を付け直立不動の姿勢で前傾60〜90°の「礼に始まって礼で終わる」しきたりを強調し「立つ」「坐る」の敏捷性と相手を見る視線に気を集中することに時間をかけています。「日本武道」が、コロラド州にしっかりと根付いていると思います。このコース見学に集まった中に日本人は私だけでしたので、数人の州民が私に話しかけてきました。

 「あなたも空手をやるのか?」
 「私は、空手、銃剣術、剣道は少しやったが好きなのは"AIKIDO"です」と笑顔で応えました。きょうの中年紳士たちは、柔道、空手、剣道、合気道という名称を知っています。二十八年前にロサンジェルスで働き始めたころは、こんな白人に出くわすと驚いたものです。

 最近は、全米の武道道場のインストラクター(三段から七段)は、ほとんど米国人(あらゆる人種)であり、留学生や進出企業の日本人で、武道を身につけている人は稀で、また、入門する人を私は、この二十八年間で接したことがありません。忙しいという理由では無いと思います。進出ビジネスマンや、その主婦でも、日本で武道を嗜んだ方々は、多忙でも道場にみえますが、そういった人は少ないものです。 「文武両道」というたしなみや人生観は、近時、海外に飛躍する日本の青壮年には無縁のことがらなのでしょうか?

 私見ですが、この風潮は、戦後の教育行政の一面である日教組、教育行政の影響と、大東亜・太平洋戦争のトラウマから生まれた自虐史観のなせるわざかと思います。日本各地大学の武道部が、ときどき訪米し、親善試合を楽しむことがニュースになりますが、その頻度はきわめて稀であります。しかも、術の触れ合いを楽しむのは、ほとんど米人であります。在米の日系武道家は少なく、その人たちでも十年後は、ほとんど引退してしまいます。

 学府、ボウルダー市で余生を送る日系米人女性(医師)がおりますが、この人は体格もがっちりしていてリタイヤーしても、ボランテイア活動では市の有名人(Dr Mieko Akima 76歳)であります。在日学生時代から柔道に親しみ、渡米しても現役時代は柔道で健康管理をしていたそうです。尊父の遺墨「共存共栄」が居間から彼女と息子たちも見守っている感じでした。

 日本の少年野球、野茂、イチロー、松井は周知であります。そのうちに、サッカーなども盛んになれば結構です。一芸に秀でれば心身の到達点は同じですが、武道の心身鍛練は、欧米から輸入されたスポーツには無いもの...独特な面があると思います。

 一般スポーツでトップガンになれなかったり、いろいろな理由で挫折したりした一般の中間、底辺の青少年にこそ、武道が非常に寄与すると思います。小中高生の年代に体験させることが望ましいものです。なにも、武道家になったり、選手になるのが目的ではありません。それぞれ、子どもの人生街道には、あらゆる職業が待っていますが、いかなる道を歩もうとも武道体験は生きてくると私は信じています。それを今の日本教育行政に取り入れる議論でも、生まれて欲しいものと思う者は、私だけではないでしょう......。

 アメリカンフットボールの選手でも、自我抑制、事故防止としての武道を研究して取り入れる人もおるようです。当地も「座禅」や「法華経」の境地を追求する人も増えています。米国人のあたまの柔らかさには感心します。一世、二世パイオニアの実績に畏敬し、戦後混乱期の偏見、侮蔑に耐え日本人の優秀性を示した先輩たちには、ただただ頭を垂れるのみであります。温故知新を......  ああ! 日本よ!   


(続く)
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