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デンヴァーの風 その12 ハロウイン・ナイト 秋山晃通
【日米シニア井戸端会議 関連特集】
米国コロラド州デンヴァーの秋山晃通さん(73)からエッセー「デンヴァーの風」が届きました。秋山さんは、シニアネット仙台運営しているシニアのための電子メールコミュニケーション「日米シニア井戸端会議」に参加しています。エッセーは不定期で続きます。 |
今年のハロウインは、コロラド州の片隅で楽しんだ。南カルフォルニア在住のときは、一人娘の成長にあわせて、毎年10月31日のため趣向をこらした。
幼児から中学生ごろまでは、キュートなエンジェルであったが、高校生ごろからは妖艶な魔女の雰囲気をかもしてきた。その容姿に惚れこみ、「くの一忍法」の妖術に絡まれ、妖艶天使の「ポンポン」をふくらませてしまった漢は、いま吾が家の婿である。
なんと、ハロウインを迎えるこの月25日には、三人目ウイッチの健康な子を、かつての乙女に産ませてしまった。
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| ハロウインの宵 |
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| 愛らしい主役たち |
みなさま、ご存知「ロサンジェルス・ハリウッド」界隈の目抜き通りには、毎年、猟奇性をてらった青壮年男女がパレードする。
若し明治の文豪をして、これらを傍観するならば、魑魅魍魎(ちみもうりょう)、煕煕壌壌(ききじょうじょう)として跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)の憂いあり、乱世の凝縮、ここに観る。愚弄の地獄絵巻より湧きいずる嬌声哄笑は奔流となり、その響き吾耐え難し、これ末世の態なり...。などと表現するであろう。これぞ米国大都市一夜の側面である。サンフランシスコやニューヨーク繁華街のそれと聖林商店街との比較は私にはわからない。
しかし、米国全土の一般住宅地では、ほほえましい宵をむかえる。子どもが主役である。女の子はほとんど、シンデレラ、デイズニーズムードの妖精、アラビアンナイトの美女、楊貴妃風情、振袖姿などに、年に1回の夢の実現に目を輝かし、軒並み玄関を訪問して「Trick-or-treat」と言いキャンデイーをせびり手持ちの袋などに溜め込む。その可愛い唇からこぼれる響きは寒気と死神を払いのけ、そこの住人にやすらぎをあたえる。男の子は、東洋の武道姿や米画活劇のヒーローが多い。ときに、若い母親などコスチュームに化粧に手間隙かけ幼児たちに連れ添う。
女の子でも、たまに黒ずくめの魔女に扮装しているが、その暗さは雲散霧消して無垢なる天然の精気が勝っている。子どもはまさに、セラヒン(九天使の最上位)と私は思う。
子どもに恵まれない人。また、家族と別れて暮らす老人でも、楽しそうに「臍(へそ)チョコ」などをたくさん用意してたそがれから、そわそわしている人もいれば、居留守をかこつける者もいる。1ブロックに一軒は10月早々に、玄関や窓、庭にまで、ひょうきんなスケルトンを置いたり大きなカボチャを百面相にしたり、模造タランテラを枝からさげ絹綿を張り巡らす。その週初めから陽が山端に隠れると蝋燭や電灯を灯す。なかには子どもが表庭に入ると、アメリカ楓などの大枝から白いシーツやKKK(ク・クラックス・クラン)のような人形がすべり流れて来たり、音声や不気味な笑い声、悲鳴を聞かせるなど、年々、そのアイデイアの交流がおもしろい。
迫り来るサンクスギビングとクリスマスの準備を兼ねてイルミネーションが目立ちだす。
11月1日は「オール・ハロウズ万聖節」だから、そのイヴということでもある。米人壮年でも、イギリスやアイルランド地方の古代ケルト人、死の神「サーウエン」を崇める話が米国で、いつやらこの行事に変化し定着した経緯を知っている人は東部と西部では異なるであろう。多民族の広大な新天地開拓という米国史の感慨は11月下旬に向けて展開し、それはインデイアンの美談につながり七面鳥でけりがつくらしい。
デンヴァー界隈のハロウイン・ナイトは、ハリウッドのような交通規制をしてまでの大行進は見ない。市街内の仮装散策は午後6時から8時という規制が守られている。高校・大学学園でも良識に基づいている。ボウルダー市大学生街で散見する扮装は、さすが機知に溢れたものを感じると、当地で長年暮らす日系米人余生のおばさんが誇らしげに言う。
この行事の前後は、リビングルームの大テーブルなどに紅色、薄緑色、黄色のリンゴが山積みにされる。それらは窓から差し込む陽光の反射で、今にも転がりだしそうな感じだ。さて、きょうは、どの色を味わってみようか?
ともあれ、この日だけに許されている?昔からの「ブラックジョーク」は真理のごとく生きているからゆかいだ。いちばん恐ろしいのは......「仮面、仮装を剥いだときのアナタだ!」と。
(続く) <戻る><Top>
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