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デンヴァーの風 その7 流浪の思い出  秋山晃通


【日米シニア井戸端会議 関連特集】
 米国コロラド州デンヴァーの秋山晃通さん(73)からエッセー「デンヴァーの風」が届きました。秋山さんは、シニアネット仙台運営しているシニアのための電子メールコミュニケーション「日米シニア井戸端会議」に参加しています。エッセーは不定期で続きます。

上流の住宅
個人の庭に銅像
 『サンフランシスコ』の高級地区は丘陵地帯だったと記憶にある。 やはり観光で訪れた『モントレー』、『ペブルビーチ』、『サンデイエゴ』は風光明媚な海浜と丘陵が醸す景色だった。太洋の反射光と風が謳歌していた。特にペブルビーチは日本で見るような松が多く、道路も狭く、軽い起伏とうねりの路で、車を捨てて歩きたくなるところであった。洋風建築を引き立てていたが、ここなら和風家屋も馴染むと思った。

 アイゼンハワー大統領やビングクロスビー、ボブホープが楽しんだゴルフ場のあるここには住んでみたいと想ったこともある。当時は下手でもゴルフに夢中であった。

 若い時は海を好んだ。徹夜で海の声に涙ぐみ、夜明けの太陽に胸を張った時があった。 老齢期になると高原や湖の近くに住んで、四季の中で草木花とともに峰や雲を仰ぎたくなるらしい。森閑とした林道から湖畔を見下ろし、ふと釣り人や佇む人をみつけたり、小休止の際など"傾蓋故のごとし"を味わうと、余生の嬉しさが一入である。

 移転前でも、サンタモニカやズーマの風に包まれたくなり、疲れた時など、むかしの恋人にでも会う気分で、よく行ったものだが静かな海浜は冬だけだ。夏季とその前後などの若者達の嬌声を聞いたり動きを見ていると苦楽の思い出が蘇るが、強烈な太陽と海の風に曝されると疲れてしまう。1時間もいれば堪能した気分になれる。

 豪商ハーストの自称宮殿は金を湯水のごとく使ったであろうが歴史の重みも自然とのバランスもない。無理にいえば夕暮れの太平洋と平凡な丘陵とのコントラストが美しかった。ともあれ成金趣味だったと記憶している。

 観光で訪れたワシントンDCは、公共施設は立派だが一般の住居地区は貧富の差の激しい町であった。指圧業界の交流でフィラデルフィア市に二泊したこともある。両方の市では米国史、文化の重みを感じたが、政治と時代が生むそれらに責められる感じに心が重くなってしまう。貧民街、不潔な街角、崩れた舗装道路などをたくさん見たから。

 ルイジアナ州の『New Orleans』にも20年前、米国マッサージ界の研修会で二泊三日遊んだこともある。『Old man river』ミシシッピーの流れと黒人霊歌やブルース、デキシーランドジャズ、数々の名曲が生まれた背景である歴史に想いを馳せ、ハリウッド映画の名場面を重ねて、場末の店でトランペットの哀調の響き、べースビオラのリズムに感動した土地だったが住みたいとは思はなかった。ハワイ諸島やグアム島は太平洋と南洋の自然美だ。それは抜群であった。海が好きな人にはハワイは最高であろう。
(続く)
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