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デンヴァーの風 その6 上流住宅の比較  秋山晃通


【日米シニア井戸端会議 関連特集】
 米国コロラド州デンヴァーの秋山晃通さん(73)からエッセー「デンヴァーの風」が届きました。秋山さんは、シニアネット仙台運営しているシニアのための電子メールコミュニケーション「日米シニア井戸端会議」に参加しています。エッセーは不定期で続きます。

上流の住宅
 私が住む市の住居フェンスは、ほとんど木製である。州都デンヴァー周辺地区がわかりはじめた。わたしのところは経済的には、コロラド州の中流の人があつまっているらしい。かく家の敷地がやく三百から五百坪前後である。コンドミアムもアパートも、あたらしいが超豪華なものはない。ファーストフード店、銀行、商店、レストランは約2〜3マイルごとにある。貧民街はない。

 デンヴァー市は大都市の宿命だ。ビジネスビル谷間と市バス路線地区に、ふきだまりや老朽ビルとゴルフ場が同居している。これらの、市場経済的流動を「ドーナッツ現象」とビジネス界ではしょうして、その善処に市制はくりょしている。グリーンビレッジ地区やアロマ地区の住宅の塀は、大小のレンガなどをつみあげた豪華なものである。一邸の敷地の、いっぺんは、やく2〜300m以上はある。私の車窓からみえないおくのことは想像するしかない。その景色がなんと数マイルもつづいている。

 カルフォルニア州の『サンタバーバラ』、『モンテシート』で、やく三年はたらいたことがある。そこは、トロピカルな植物と豊富な種類の樹林にかこまれ、リスなど、野生小動物の天国であった。

 ハイビスカスなど、あまたの花芯の蜜をもとめ、熟れた無花果にも、ハミングバードが、タクトかとまごう二拍子、緩急の飛翔はときにとまりうき、万緑をなでる、そよかぜとともに、天然のオーケストラを指揮していた。

 野鹿や、子犬ほどもある白黒ストライプもあざやかなスカンク夫婦が、ときおり、邸宅の庭をおとずれる。施術する部屋のなかを、野鳥の声をあびながら、のぞいていたことがたびたびである。

 わたしの呼吸はふかくおそいが、かれらと視線がからむと、しばし、ながれおしのリズムがみだれてしまう。ウオルトデズニーズフィルムのような一場面だが、平穏永続の保証はない。山火事の不安からのがれられない。

上流の邸宅の内部
 山頂稜線に、中型潜水艦ほどもある水槽タンクを、自邸のためだけに2基も設置した金持ちもいた。岩礁のあいだに、会員制でも通用するような、ジムつきの台風の激浪にもたえられる、超厚ガラスばりでモダーン建築を豪勢につくり、施術をうけるときは、太洋を200度展望できる部屋。そこには大中小あまたの、インドアプラントがところせましと繁茂し、モウツアルトの曲をながさなければならない、顧客のいた『マリブ』は、南加特有の地殻変動海浜丘陵地帯、絶景のなかにも山火事、豪雨の濁流、地すべりで自然界の傷跡がめだつ。資産家子弟があつまる『ペパダイン大学』は自然災害にはあんたいらしく芝生の丘陵が太平洋に映えていた。

 わたしの指圧で肩腕危機(73歳で腕が肩より上にあがらなくなった。)を脱した、2mちかい長身の男がいた。かれは事業でも成功して、リタイヤーしたテニスマン(ウインブルドン1948年度世界シングルチャンピオン)でサンタバーバラの奥に一丘ごとの本宅をもっていた。かれら夫婦は、毎週月曜から木曜まではベルエア地区の、UCLAとサンセット通りかどの別荘に逗留していた。そこも樹木にかくされていた。

 『ビバリーヒル』にすむ超資産家末裔(ケネデー家の親戚)の五十代前半夫婦の邸(リビングルーム四室。英国調、スペイン調、チャイナ風、アールデコとモダーンをまぜた部屋を誇る)に毎週、施術のために出張したが、やはり、そうほうの邸宅は樹林と潅木につつまれている。コロラド州デンヴァー市周辺の、高級住宅とくらべたら設計感覚がちがうとかんじた。

 雑草や人を静かに夏の町       晃通
(続く)
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