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デンヴァーの風 その1 新天地に  秋山晃通


【日米シニア井戸端会議 関連特集】
 米国コロラド州デンヴァーの秋山晃通さん(73)からエッセー「デンヴァーの風」が届きました。秋山さんは、シニアネット仙台運営しているシニアのための電子メールコミュニケーション「日米シニア井戸端会議」に参加しています。エッセーは不定期で続きます。1回目は1300マイル(札幌から沖縄近くまでの距離)を車で一気に引っ越した話。

我が家
73歳のロングドライブを敢行!たどり着いた我が家
 ロサンジェルス、トーレンス市を4月26日AM6:00。トヨタ91年型カムリに思い出が沁み込んでいるガラクタを満載して出発した。その前夜は送別会の恩恵に甘え、深夜まで酒食に酔い就寝したのが午前1時。起床5時。先導の荷物を積んだトラック(白人婿の弟26歳運転と、彼のガールフレンド)に附いて坂道は登り降りとも70−90km/h。平坦道は110−140km/hで突っ走った。

 40号線でアリゾナ州を東に向け横切りニューメキシコ州の中心でモーテルに泊まる。最初の1日で11時間の強行走破、給油の休憩3回だが、まるでインディーレースのように彼らは数秒を惜しんだ。広大な平原を地平線に向う老齢車の心臓と運動神経を心配した。私一人なら2泊3日かけて行くところを。(注意...日本からの短期旅行者は、こんな運転は真似てはいけません。十年以上も米国の運転に慣れている人だけの必要悪ですから)

 無事到着を感謝しながら30分以内配達ピザを摘む。送別土産の日本銘酒とテキーラを呑む。これは緊張を和らげる薬であった。義弟ガールフレンド21歳の、テキーラの呷り方はカーボーイのスタイルである。私の飲み方は貝原益軒の教えを真似ている。日米習慣の差と気候風土や体力、民族、人種の違いを痛感しながら就寝12時。

 起床5時、6時出発。東北に向かうので日の出が眩しい。やがて国道25号線を北上してコロラド州に入る。山岳地帯の道路修理地区40km/h規制は景色をのんびりと約1時間満喫させてくれた。もうじきだ!まもなくだ!頑張れ!と呟き、横隔膜の上下運動、足踏み、片手で腿を揉んだり、咽喉の前頚部や大腿鼠頚部を指圧しながら午後2時にデンヴァーに到着した。8時間走行中ガス充填と人の排泄含めて1回10分を2度だけ。食事はソフトドリンク、スナック、ブラックコーヒーのみ。その粗食がドライブにはよかったらしい。出発前夜の美食も体力維持に寄与したのであろう。

 ともあれ、無事到着し娘の家族に迎えられ、孫を抱き上げた瞬間は、至福に包まれた事を深く意識した。締めて1300マイル(札幌から沖縄近くまでの距離)を19時間運転、9時間休憩でドライブしたなんて、私の人生では2度と無い事だ。しかも73歳で、この強行をさほどの苦痛も無く、為し終える事が出来たことが嬉しい。この調子なら百歳でも元気で暮らせるかもしれない。夕食の巨大ビーフBBQを午後5時に終えてから、乱雑な自分の部屋に落ち着いたら、睡魔に襲われ大小荷物の間に埋もれ、着の身着のままベッドに倒れ込んだ。そして何もかも気にかける事無く眠りに落ちた。<続く><戻る><Top>
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