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なんでもシネマ(53) わたしの中のあなた身近な人(両親や兄弟、恋人たち)とは、私にとってどんな存在なのだろう? 公開中の「私の中のあなた」(ニック・カサヴェテス監督)は、そのことを問う。 こんな風に始まる。勝訴率91%の凄腕弁護士の所に、11歳の少女アナ(アビゲイル・ブレスリン)が訪れ、自分の体を守るために両親を訴えたい−と言う。3歳年上の姉ケイト(ソフィア・ヴァジリーヴァ)は白血病で、アナは生まれたときから姉のために何度も手術台の上に乗っていた。そして今度は腎臓提供を求められている…。 実はアナは、ケイトが健康だったら、生まれていなかった。ケイトが白血病と分かった両親は、遺伝子操作を行って将来ケイトを助ける役目としてのアナをもうけたのだった。 アナの訴えは通り、法廷で争われることになるが、そこには隠された真実があった。 ここで描かれるのは、難病の娘を抱えることで崩壊の危機に面した家族のそれぞれの葛藤とその行方だ。アナを起点としてケイト、両親、兄それぞれの視点で関係があぶり出される。身近な人とは互いに結び付きながらも常に別な存在なのだ。監督は、その事実を強烈に、しかし愛情深く描き出す。 キャメロン・ディアスは娘を救うためならいかなる手段も取る直情的な母親役を体当たり的に演じ切った。アナ役ブレスリンは早熟なだけではない、気持ちを察することのできる繊細な面も演じて存在感があった。 でも何と言っても、ケイトを演じたヴァジリーヴァだ。不治の病に苛立ちを見せる一方で、ちょっとした喜びに天使のような微笑みをもらす。その、どこまでも澄み切った心、「覚悟の美しさ」が心を締め付ける。 原作は米国のジョディ・ピコーの「My Sister's Keeper(私の姉の保護者)」だが、監督は結末を全く違えている。原作の”劇的”に対し、映画は静かなものに。そこに映像作家カサヴェテスのバランス感覚を感じた。アーロン・ジグマンの祈りにも通じる静謐な音楽も心に染みる。(直) ![]() |
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