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なんでもシネマ(49) 

生きることへのエール


 世界同時不況の出口が見えず、不安といら立ちが募る。こんな時こそハッピーで見る者を元気にさせる作品を見たい。公開中の「マンマ・ミーア!」(2008年、フィリダ・ロイド監督)がぴったりだ。夢中になって働いてきた世代に、これからを楽しく生きてほしいというエールが隠されている。

 ギリシャの小島でホテルを経営するシングル・マザーのドナと娘のソフィ。ソフィは結婚式での父親のエスコートを夢見て、母親に内緒で父親候補の3人に招待状を送る。その3人が島にやってきて鉢合わせ。大混乱の中でソフィは実の父親を見つけられるのか。

 1970〜80年代にかけての人気ポップスグループABBA(スウェーデン出身の男女4人組)のヒット曲で構成された舞台ミュージカルの映画化。タイトルの「マンマ・ミーア」は、イタリア語で「なんてこった」「おやまあ」の意味で、直訳の「私のおかあさん」も重なって絶妙だ。舞台ミュージカルは99年のロンドン初演以来、世界中で3,000万人が見たという大ヒット作。日本では劇団四季が公演している。

 ドナ役のメリル・ストリープは娘を思いやる母親の心情をしみじみと演じる一方で、奔放だった青春時代の片鱗を体当たり的に演じて圧倒的だ。そしてオーディションで選ばれたソフィ役のアマンダ・セイフライドは伸びやかな歌声とキュートな演技で魅了する。

 元カレの1人を演じた5代目007のピアース・ブロスナンは、やや線の細い歌声が純情さを感じさせ意外にはまり役だった。

 ロンドンのスタジオ撮影とギリシャの小島などのロケを一体化させ、舞台ではできないスケール感と細かいストリー展開を生み出した上に舞台の持つライブ感も伝えている。

 特にエンドクレジットの後で、ドナ母娘や父親らがハイヒール、ラメ入りパンタロン姿で歌い踊るさまは、舞台のカーテンコール風で粋な演出だった。観客からは「踊り出しそうになった」「私もよ」の会話が飛び交った。ここまで楽しい作品は久しぶりだ。(直)
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