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なんでもシネマ(43) 

天使の歌声


 寒い日が続くと、なぜだか体は丸まり、気持ちも沈みがち。それは寒さだけのせい?

 悲しみが重なり合うことで生まれた、切なくも透明な歌声に耳を傾けてみませんか。不思議と背筋も伸びてくる。「コーラス」(2004年、仏、クリストフ・バラティエ監督)は、そんな映画だ。

 第二次大戦直後のフランスの片田舎の寄宿舎「池の底」が舞台。親を亡くしたり、素行に問題があったりと、それぞれに問題を抱えた男の子23人が預けられていた。そこに舎監としてマチュー(ジェラール・ジュニョ)が着任する。

 音楽家として挫折したマチューだったが、学校に規則で縛られ、常に悲しい目をした彼らに歌を教え始める。1人1人に歌わせて声部ごとに振り分けるシーンが秀逸だ。マチューの簡潔なコメントとともに、さりげなく子どもたちが紹介される。

 最初は反発する子どもたちも、理解をしてくれるマチューに父親像を重ね、歌うことで希望と笑い声を取り戻し始める。

 一番の問題児ピエールの声が特別なことに気付くと特訓し、ピエールが加わった合唱は”天使の歌声”となって響き渡る。

 だがマチューは規律を優先する校長と対立、寄宿舎を去る。この別れのシーンが忘れがたい。心を通わせたはずの子どもたちなのに誰も見送りにこない。がっかりする彼の頭上に、2階の教室から次々と紙飛行機が舞い降りる。校長に遠慮した子どもたちからのメッセージだった。

 3000人から選ばれたピエール役のジャン=バティスト・モニエ(当時13歳)は、リヨンにある少年少女合唱団の独唱者。限られた人間に、ほんのひととき与えられる奇跡の声(ボーイソプラノ)は官能的ですらある。だが、歌には素人の他の子どもたちも合唱団指揮者の指導で、映画とともに成長する。マチューと子どもたちの歌うことへの純粋な思いが、胸を熱くさせる。(直)
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