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なんでもシネマ(38)

仙台からの発信


 原作は仙台在住の作家、伊坂幸太郎さん、ロケ地は仙台市内を中心に宮城県 内。”丸ごと仙台発”ともいえそうな映画「アヒルと鴨のコインロッカー」(中 村義洋監督)が、全国に先駆けて5月12日から仙台を含む宮城で公開される。

 一足お先に試写会で見た。これはお薦め。小説の伊坂ワールドに触れたこと のない人でも、上質のミステリーの味付けと青春映画のほろ苦さにジーンとくるだろう。

 東京から仙台の大学に入学した、ちょっとお人好しの椎名(濱田岳)は、ア パートの隣室の青年、河崎(瑛太)に「一緒に本屋を襲わないか」と持ち掛け られ、手伝ってしまう。河崎の語るブータン人留学生ドジル(田村圭生)、そ の恋人で河崎の元彼女、琴美(関めぐみ)、さらにはペットショップ店長麗子 (大塚寧々)も登場する。原作では、椎名と琴美が一人称で現在と2年前を交 互に語りながら展開、最後の大どんでん返しで「おかしくも切ない真実」が明らかにされる。

 原作に沿って頻繁なカットバックを行えば、焦点がぼけてしまう。伊坂さん自身が「映像化は難しいかな」と感じていたそうだ。中村監督は、現在と2年前を見事に切り分けて、椎名と河崎のミステリアスな6日間を、ごく自然で無 理のない展開に仕上げている。数々用意された伏線が心憎い。最後、収まるところにきっちり収まったのには、正直「やられた」と感じた。一見奇妙な題名も、最後には氷解するはずだ。

 キャスティングの妙にも注目したい。濱田の演じる普通ぽさ、ある種のおかしみが、瑛太の孤独と一途さを引き立てていたし、関と大塚という女性陣のバランスも良かった。

 同じ在仙の直木賞作家、熊谷達也さんは「伊坂作品のテイスト(味付け)が万華鏡のように散りばめられた映画」と絶賛している。作品内容に深くかかわって流れる、ボブ・ディランの「風に吹かれて」も心を揺さぶる。ディランの楽曲は、オリジナル音源の使用には厳しいディラン側が、今回は作品の内容に共感して使用を認めたという。(直)
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