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なんでもシネマ(36) 007の出発点ジェームズ・ボンドはいかにして殺しのライセンスを持つ007になったのか。 007シリーズはこれまで、個性的な5人のボンドが活躍を繰り広げ、20作がつくられたが、この点は描かれないままだった。版権の問題がやっと解決、第1作から44年ぶりにシリーズの原点「カジノ・ロワイヤル」が公開されている。 6代目ボンドは英国人の性格俳優ダニエル・クレイグ。スマートで完全無欠、女性には傲慢なほどの自信家−という確立したボンド像から見れば、荒削りで任務の失敗に傷つき、女性には繊細な面ものぞかせる。「007シリーズは人々に快い高揚感を与える」と話すクレイグは、役に全力投球しながらチャーミングな部分も忘れない演技で、ボンドの人間味を醸し出した。特殊効果を最低限に抑えた体当たり的アクションが印象的だ。ロジャー・ムーアやピアーズ・ブロスナンの出演作を見直して、その切れの違いにあ然とした。 シリーズに欠かせないのがボンドガール。撮影直前に出演が決まったエヴァ・グリーンは「対等に渡り合う丁々発止と、弱さを見せる部分に演じ甲斐があった」と話す。2人の演技の”化学反応”が、誰もが知っているボンドを、「またボンドか」と思わせず、見る者をぐいぐいと画面に引き込んだ。 女性では上司M役に引き続きジュディ・デンチが登場しているのもうれしい。本来、時空間的にはあり得ない起用だが、彼女の存在感は代え難い。 演出の妙も見所だ。シリーズの常套プロローグを、色鮮やかなトランプで飾って先入観を打ち砕いたかと思えば、予想を裏切って「あの」見せ場をちゃんと用意する。「9・11」以後に設定され、ITが不可欠なツールと、最新作にふさわしい状況設定でありながら、そのエッセンスはイアン・フレミングの原作の忠実な再現。そして旧作を見直したくさせる隠し味も含まれている。マーティン・キャンベル監督ら製作陣の狙いに、まんまと乗せられた。(直) ![]() |
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