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なんでもシネマ(30)

ワインの世界


 新春をおいしいお酒でお祝いしたでしょうか。昔なら日本酒で決まりだったが、今ではワインという選択肢もある。日本は今、第6次のワインブームだとか。いろいろな場面でワインに出合うが、産地やブドウの品種、生産年、造り手によって味や香りのメッセージが変わるだけに、一筋縄ではいかない。おいしさや値段はどうやって決まるの?

 「誰かに話したくなる、ワインの話」といううたい文句にひかれてドキュメンタリー「モンドヴィーノ(ワインの世界)」を見た(仙台フォーラムで1月13日まで公開)。

 ソムリエでもある米国のジョナサン・ノシター監督(44)が世界各地のワインの現場を巡り、企業や生産者、評論家らに手持ちカメラで迫り、今、ワインの世界で何が起きているのか−を明らかにする。

 ブドウを栽培する土地や風土(テワロール=地味)にこだわる人たち、その一方で巨大な資本をバックに世界中で「売れるワイン」を造ろうとする米国の企業、最新技術で個性よりも分かりやすい味を広めるワイン・コンサルタントや評論家たち。6カ語に堪能なノシター監督はテワロール派、グローバル派の双方の懐にスルリと入りこんで本音を聞き出す。ともにワインに情熱を傾けているのだが、その方向は相容れない。前者の場面では犬の姿にカメラが振り向き、後者はスーツ姿で笑顔がまぶしい−という対比は意味深長だ。

 「ワインは無限の複雑さで、何より人間に似ている。今日のワインを考えることは、過去をどう考え、未来にどんな視点を持つかにつながる」と話す監督。映画評論家の芝山幹郎さんが面白いことを書いている。監督は”ワイン内戦”に「仁義なき戦い」の風合いをまとわせていて、12カ国を飛び歩くワイン・コンサルタントは「悪役」の魅力すら漂わせているというのだ。事実の方が、よりドラマチックということか。

 見れば、ワインへの思いや味わいが変わること請け合い。「良いものには余韻が…」。映画もワインに通じる。(直)
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