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なんでもシネマ(26)

映画を聴く


 「第三の男」でのアントン・カラスのツィター、「禁じられた遊び」でのナルシソ・イエペスのギターが奏でたテーマ曲を知らない人はいないだろう。映画の音楽はシーンと結びついて映画の印象を決定づけ、一方で音楽として独立した魅力も放つ。映画は「観る」ものだが、「聴く」ものでもある。聴くことにも関心を向けると、映画の新たな輝きが見えてくる。

 そんなことを教えてくれる手頃な本に出合った。「さわりで覚える映画の名曲50選」(中経出版、1600円)だ。1、2巻で1931−99年の100作品が紹介されている。本当にさわり(各曲1分30秒前後)を収容したCDが付いているのも助かる。

 CDを聴くと、曲が変わるたびに映画のシーンが次々と浮かんでは消える。例えば「シェーン」の「遙かなる山の呼び声」(ヴィクター・ヤング作曲)では「シェーン! カムバック!」という少年の叫び声とともに、ラストシーンが鮮明に思い出される。

 実は、この曲のサウンドトラック盤(LP・CD)には、少年の声は入っていない。ラジオのディレクターが、試写会で録音した声と演奏をミックスさせて放送で流したことから、こちらの方が定着したという。そんなエピソードが、簡潔な作品紹介と合わせて分かるのもうれしい。

 イタリア人コンビのフェデリコ・フェリーニ監督とニーノ・ロータは「道」や「甘い生活」「フェリーニの道化師」などで、映画と音楽の豊潤な融合をもたらした。「男と女」「白い恋人たち」「愛と悲しみのボレロ」などのクロード・ルルーシュ監督とフランシス・レイはフランスのコンビ。「男と女」のシンプルな展開に添えられたボサノヴァのリズムは豊かな情感を生み出し、五輪記録映画としてはユニークな「白い恋人たち」では、おしゃれでユーモアさえも感じさせる音楽に乗って、アスリートたちが俳優以上に輝いていた。監督と音楽家の幸せな組み合わせというのもあるのだ。(直)
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