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なんでもシネマ(22)

「ロケ地の真実」


 「ハリー・ポッター」の映画の中に登場するホグワーツ魔法魔術学校は実在の建物なのか、それともセット、いや今や敵なしのCG(コンピューターグラフィック)なのか。

 こんな疑問に答えてくれる「世界の映画ロケ地大辞典」(晶文社、7600円)が登場した。著者のトニー・リーヴスは雑誌デザインと映画評論を手がける英国人。映画黎明期の傑作「イントレランス」から近作「ハリポタ」まで1600本以上の撮影現場の情報を9年にわたる独自の取材で集めた。

 冒頭の答えは、イングランド北部の大聖堂や古城、ロンドン近郊の学校などを状況に応じて使い分け、CGを加味した。ハリーがレンガの壁にぶつかるプラットホームはロンドン市内のキングス・クロス駅での撮影だ。

 大辞典の翻訳者は友人の映画評論家齋藤敦子さん。彼女には河北新報のホームページ上でカンヌとベネチア映画祭のリポートをお願いしている。評論執筆や字幕翻訳などの合間を縫って3年掛かりで完成させた労作だ。

 CG頼みと思われがちな「スター・ウォーズ」シリーズだが、アフリカ・チュニジアの砂漠をベースに、イタリアやスペインに現存する古い建物をしっかり生かしている。アナキン少年の奴隷居住区は、荒涼とした背景の中で地球とは別の惑星を思わせるが、灼熱の砂漠の熱気から逃れるために柔らかい砂岩を丸く掘って造られた実在の住宅だ。地球上の人の営みの奥深さには驚かされる。

 大阪・繁華街のネオンの洪水と騒々しさが作品性格を決定づけている「ブラック・レイン」(89年)。遺作となった松田優作の狂気じみた演技が展開するやくざの親分の家や、バイクでの追っかけは、実はロケ資金不足もあって、ロサンゼルスで撮影された。

 作品名で探すのもいいし、巻末にはロケ地別索引もある。著者いわく「映画の世界遺産についての世界初のガイドブック」を片手に、映画の楽しみ方を広げてみません?(直)
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