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なんでもシネマ(15)

「マトリックス」の行方


 この現実は、実はコンピューターが造り上げた架空の世界で、人間はそれを 自覚しないまま生かされている−というのだ。そういえば夢の方が、目覚めた ときよりも現実感があったという体験、したことありません? その事実に疑問を持った少数の人間が自由を求めて闘い始めた。それが1999年に公開されて 大ヒットした「マトリックス」(監督:ウォシャウスキー兄弟)だった。

 カンフーを基にした華麗なアクションが話題となったが、それ以上に「今、 ここが現実だと信じられるのか」という問いかけが衝撃だった。その続編「マトリックス リローデッド」が公開中だ。どこをどう撮ったのか、考える暇が ないほど、次から次へとアクションが登場する。ネオ(キアヌ・リーヴス)がロングコートを翻して、100人に増殖した黒メガネ軍団と舞うように戦う場面などは、その様式的な美しさに酔うほどだ。

 ところで、人工知能に対する人類の反乱の行方は、どうなったのか。人間を勝利に導くはずの予言者すらがコンピューターの造形だった、と明かされ、話はますます分かりにくくなる。ネオたちの運命はいかに、と思っていると、突然終わってしまう。

 「マトリックス」はまだまだ続き、年末公開予定の「マトリックス レボリューションズ」で完結する。評論家北川れい子さんは「なんと人騒がせな。 これってただの寄り道バージョンじゃない」と疑問を投げかけているが、僕もうなずいてしまった。

 人間がコンピューターに自分の存在を投げ出したままであるかのような現実。ゲームの世界で現実感を失った人たちの存在などを考えると、このシリーズが持つ棘(とげ)は健在だ。「現実か仮想か」を本来の「考える葦」に戻って頭を悩ませる一方で、もっと柔軟にネオたちの華麗なアクションにおぼれるのも楽しいのではないだろうか。
(直)


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