なんでもシネマ
シニアのための市民ネットワーク仙台
Home

メニューマップ画像

なんでもシネマ(10)

「息子の部屋」の予告編


 映画館に行き始めると続けて映画を見たくなる。その理由のひとつは予告編だ ろう。たった90秒の中に盛り込まれた映像や音、そして決まり文句が、「見に 行きたい」という気持ちを起こさせるのだ。

 「映画は予告編が面白い」(光文社新書)で、制作に携わる池ノ辺直子さん は、予告編を「不思議な存在」という。本篇とは独立したひとつの作品であると 同時に、本篇にたくさんの客を集めるための広告でもある、と。だからこそ本篇 よりも面白いと説く。

 だが、予告編で見た印象的なシーンや音楽が本篇には存在しなかったり、予告 編のイメージと本篇が大きく違ったり−ということがある。独立した作品であ り、集客を目的とした広告なのだからと思っても、本来のイメージと違うという のはどうだろう?

 新世紀カンヌが選んだテーマは「家族」−。2001年カンヌ映画祭最高賞の イタリア映画「息子の部屋」(ナンニ・モレッティ監督)の予告編は、この文句 で始まった。

 息子とのジョギングの約束を果たさなかったために、事故死させたと自分を追 い詰める精神分析医の父(モレッティ)、母や姉も違った反応で悲しみを乗り越 えようとするが、互いを気遣って逆に溝をつくっていく。思いがけなく、息子と 付き合っていたという少女が現れたことで、息子のすべてを知りえなかった自分 を許す心の余裕がやっと、家族にも出てくる…。

 この予告編は、父子のジョギング・シーンをメーンに、慰めも救いも排した 淡々とした音楽を背景に、家族の気持ちを要約した単語のラッシュが続き、「生 きているときは、開けてはいけないドアでした」で結ばれる。心引かれる予告編 のひとつだった。

 イタリア公開の予告編は、ジョギングと家族が車の中で楽しく歌うの2バージ ョンがあるが、作品名が出るくらいで、あっけなく終わる。この後で見ると、日 本の予告編は”つくられた”感がしないでもない。(直)


シニアのための市民ネットワーク仙台
仙台市青葉区一番町2ー5ー12 一番町中央ビル8階
Copyright(C) 1996-2000, Sendai Citizens' Network for Seniors
E-mail:info@sendai-senior.org