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なんでもシネマ(6) クンフー映画の醍醐味米国の同時多発テロ以降、飛行機を敬遠していたが、フランスへ行くには使う しかない。おっかなびっくり乗って、西フランスの古都ナントで開かれた「三大 陸映画祭」をのぞいてきた。 三大陸とは欧米を除くアジア、中南米、アフリカのこと。映画製作後発地の作 品を紹介、支援してシネマの地平線を広げようとして始まり、今年で23回目。 10年前からのぞいているが、ソ連崩壊直後のカザフスタンやキルギスタンで 実験的な作品が作られていることに驚き、日本にあまり紹介されていなかったキ ューバの若い才能や、イランのキアロスタミ監督の素人を使ったドキュメンタリ ータッチの表現に目を奪われた。映画の世界が本当に広いことを思い知らされ た。 映画祭の魅力は、新作が対象のコンペ部門だが、過去の作品によるテーマを設 けた特集も見逃せない。今年の特集の一つ「香港剣劇の系譜」では、映画本来 の”見て楽しい”を満喫した。 日本なら、さしずめチャンバラ映画というところか。ただ、アクションがただ 者ではない。人間業を超えてあきれるばかりにパワフルで、しかも華麗なのだ。 香港・台湾には武侠映画(クンフー・アクション)という分野があり、196 0年代後半に、キン・フー監督が「残酷ドラゴン/決闘! 竜門の宿」でアクシ ョンの技法を確立させる。さらに「侠女」(71年)での竹藪の上から急降下し て斬り付けるアクションは、カンヌ映画祭で世界の映画人の目を奪った。トラン ポリンを使った独特の動きと、動作にぴったり合った音響が脳髄をマヒさせる。 今回は、キン・フー監督はもちろん、チャン・チュ監督の「片腕の剣士」や 「新・片腕の剣士」、ツイ・ハーク監督の近作まで12本が上映された。筋はほ とんどが勧善懲悪。だが、ワイヤーを使った魔術的なアクションに魅せられてい るうちに、主人公になり切っている自分に気付くだろう。単純な満足感だが爽快 だ。これも映画の楽しみ方だ。 最近ではアカデミー賞4部門に輝いた「グリーン・デスティニー」(アン・リ ー監督)が、理屈抜きで楽しめる。実はキアヌ・リーブス主演のSF映画「マト リックス」(ウォシャウスキー監督)や米TVドラマのリメイク「チャーリー ズ・エンジェル」(マックジー監督)のアクションにもクンフーが生かされてい る。魔術的アクションは、今や香港・台湾だけの狭い世界から飛び出た。 (直) ![]() |
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