なんでもシネマ
シニアのための市民ネットワーク仙台
Home

メニューマップ画像

なんでもシネマ(4)

宮崎アニメの世界


 今、映画の世界はコンピューターグラフィック(CG)が主流。例えばアカデミー主演男優賞などをとった「グラディエーター」(リドリー・スコット監督)。剣闘士の闘いの場、コロシアムを、もしセットで造ったら大変だろう。何万人という観客だって、エキストラだったら…。これがCGだと、制作費のことを別にすれば、どんな世界も現実にしてくれる。

 じゃあアニメは? アニメも幻を現実にする。でも、CGが本物に成り代わろうとするのとは違って、”偽物”であることを知りながら楽しむ。

 宮崎駿監督のアニメ映画「千と千尋の神隠し」が好評だという。封切りから三日間の動員数が、これまでの日本映画の最高だった「もののけ姫」を上回ったそうだ。好奇心に駆られて見てきた。

 宮崎アニメには魅力的な少女が登場する。「風の谷のナウシカ」のナウシカ、「魔女の宅急便」での、魔女を目指そうとするキキ。いそうでいて実はなかなかいない存在だ。今回の千尋は、身近にいるごく普通の女の子だ。

 日常に何となく不満を持つ十歳の千尋は、ひょんなことから名前と自由を奪われて、異次元の世界に投げ込まれる。そこでは言葉に責任が伴い、事態を自分で切り開かない者は生きていけない。

 千尋は人間が本能的に持っている「生き抜こうとする力」に目覚め、現実の世界へ生還する。生きる実感を知った千尋には、もう以前のぷーたれた表情はない。その輝きがまぶしい。

 今の世界は裏打ちのないものが大手を振っている。特に言葉。言葉と行動が必要な世界を見せる(疑似体験させる)ことで、現実のあいまいな世界を対比させたかった、と宮崎監督は言う。

 もちろん宮崎アニメ特有の、広い世界を浮遊する映像、幼いけれど純粋な愛なども登場するので、文句なく楽しめる。だが、監督が意図する”隠し味”が見終わった後にきいてくる。本当は子供たちより、日常に疲れ、流されている親たちへのメッセージじゃないのか、とも思った。今度は子供はおいて一人で見てみよう。(直)


シニアのための市民ネットワーク仙台
仙台市青葉区一番町2ー5ー12 一番町中央ビル8階
Copyright(C) 1996-2000, Sendai Citizens' Network for Seniors
E-mail:info@sendai-senior.org