なんでもシネマ
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なんでもシネマ(2)

雪を染める血


 暖冬予報が狂って、この冬は雪に見舞われる日が多い。仙台でも日陰に雪が残 る。その雪だが、映画には欠かせない舞台の一つだ。

 007シリーズではアクションの格好の場(「ユア・アイズ・オンリー」「ワ ールド・イズ・ノット・イナフ」)となり、上映中のサイコ・サスペンス「クリ ムゾン・リバー」ではアルプス山脈が、陰惨な復しゅう劇を際だたせる白いキャ ンバスになる。

 だが、何といっても印象的なのは「ファーゴ」(1996年、米国、ジョエ ル・コーエン監督)だろう。アメリカ中北部、ノース・ダコタ州の田舎町、ファ ーゴが事件の端緒になる。

 カーディーラーのジェリー(W・H・メイシー)は、借金返済のため、2人組 を雇って自分の妻を偽装誘拐させ、金持ちの義父から身代金をせしめようとす る。ところが、ちょっとした手違いが積み重なって、次々と犠牲者が出る。この 人たちを突き動かしているのは欲望だ。

 一方、犯人たちを追い詰めるのは地元の女性警察署長マギー(F・マドーマッ ク)。身重の体で捜査を続ける彼女を、売れない画家の夫は気遣う。この2人は 日々を楽しんで暮らしている。

 事件が解決してベッドで語らう2人。夫、照れながら「3セント切手の図案に 採用されたよ」「よかったじゃない」「いや、ライバルは29セント切手だっ た」「郵便代が値上げになれば、差額のためにみんなが(あなたの方を)使う わ」「そうかな」

 人間は欲望に弱い。翻弄され続けた犯人たちの姿は哀しくもおかしいが、決し て他人事ではない。雪面をまがまがしく血が染める作品なのに、見終わってどこ か救われた気持ちになる。マギーたちの姿も、また人間であることを知るからだ ろう。(直)


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