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米国デラウェア大学研修参加報告 「日本型シニアセンターを求めて」
報告書「日本型シニアセンター'98」(12)プロジェクトチーム報告:日本型シニアセンターを求めて(米国デラウェア大学研修参加報告)
「シニアのための市民ネットワーク仙台」の推薦を受けて、九月二日から十四日まで、米国デラウェア大学主催の「米国NPO研修」に参加しました。デラウェア州と宮城県が姉妹都市州の関係にある縁で、宮城県内のNPOのリーダーや大学の研究者ら十五人が招待されたものです。
NPOに関する「座学」が中心で、NPOの活動現場を訪れる機会が少なかったのはやや残念でしたが、政府(行政)やNPOのリーダー、研究者らによる連日の講義は、米国のNPOに関する知識・情報を大量に与えてくれました。
米国のNPOの多くが、高齢者や家庭内暴力の被害に遭っている女性や子供、障害者、少数民族、災害や犯罪の被害者などの、社会的少数者・弱者の権利や利益を守るために活動しています。NPOの使命がこうした社会的少数者・弱者に対する支援・サービスにあることをまず確認したいと思います。
日本人の感覚で言えば、本来、こうした社会的少数者・弱者らへの支援は公共サービスの一環として、政府(行政)がまず責任を持つべきテーマですが、米国においては、政府の公共政策を実際に地域社会で担っているのがNPOであり、NPOの存在なくしては、米国の公共政策は成り立たないのが現実です。
NPOといっても、オフィスを構え、人を雇用し、有料でサービスを提供するのですから、ちょっと見ただけでは、企業活動と何ら変わりません。
しかし、企業の場合、利潤を追求し、株主に配当する義務があるので、仕事のコストがどうしても高くつきます。その点、NPOは事業活動で得た収入を、株主など特定の個人のものとしてはいけないルールがあります。実際の仕事の多くを、趣旨に共感する大勢のボランティアが支えるのも、NPOの特色です。
政府(行政)側から見ると、仕事を企業に頼むよりも、NPOに頼んだ方が安上がりなうえ、NPOがボランティアを通じて、地域社会との密着しているので、よりきめこまかな公共サービスを展開できるメリットがあります。
米国の政府関係者に話に必ず出てくるのが「女性の参政権や公民権、エイズへの取り組みなど、米国の大きな社会運動はすべてNPOがリードしてきた」という説明です。米国のNPOは、政府(行政)や国民がまだ意識していなかった、さまざまな分野における社会問題に目を向けてきました。被害に遭っている人、悩みを抱えている人の声に耳をかたむけ、政府(行政)、国民に対策の必要性を訴えてきました。
「自分では声を上げることのできない人々の声を、代理人として政府(行政)に届けるのがNPOの大きな使命だ。これは企業にも、政府(行政)にもできない。地域社会に密着した活動に取り組んでいるNPOにしかできないことだ」
NPOが米国の公共サービスを先導的に形成してきたこと、政府の公共サービスを実際に担っていること、などが根底にあって、NPOには法人格と税制上の優遇措置が与えれています。
税制上の優遇措置は大きく分けて二つあります。州によって違いはありますが、まずNPO自体に所得税、固定資産税について減免措置がとられています。
次にNPOに寄付を行った企業、団体、個人には、寄付した金額に相当する分の所得控除が与えられます。企業・団体、個人には、税金という形で収めるか、自分が賛同するNPOに寄付するかの選択が許されているということです。
米国のNPOに民間の資金が集まりやすいのは、こうした税制上の優遇措置があるためですが、逆にNPOの仕事の質についても、住民の目は厳しいものがあります。特に、政府(行政)からの委託事業をNPOが受ける場合、手続きや事業内容、資金運用、組織運営など、さまざまな面で適正さを要求されます。
<米国NPO研修から(1)>
「シニアのための市民ネットワーク仙台」の推薦を受けて、9月2日
から14日まで、米国デラウェア大学主催の「米国NPO研修」に参加
しました。デラウェア州と宮城県が姉妹都市州の関係にある縁で、宮城
県内のNPO(民間非営利団体)のリーダーや大学の研究者ら15人が
招待されたものです。
デラウェア州ニューアーク市にある「ニューアーク・シニアセンター」を訪れました。「シニアセンター」は、米国のNPOが地域社会とのかかわりでどのような活動をしているかが、よく理解できる事例の一つです。
このシニアセンターは五十五歳以上の会員制を採用している点が特徴的です。会費は月額10ドル(約1200円)。デラウェア大学と連携しながらセンターを運営していることも、他のシニアセンターには見られない特色です。プールを備えた健康センターが地域の高齢者の健康管理に貢献しています。
センターの名称と同じNPOが地域の大勢のボランティアと協力しながら運営しています。シニアセンターは毎週月曜日から金曜日までの午前九時から午後五時までオープンしています。会員数は2300人。1日あたり平均して約200人がセンターを訪れるそうです。
芝生の美しい庭を通って玄関を入ると、幅4mぐらいの広い廊下が緩い曲線を描いて延び、ホテルのロビーのような感じでした。壁には絵画教室で製作された作品が何枚も貼ってありました。受け付けカウンター、ソファセットのテーブル上には、色とりどりのチラシが置いてあります。シニアセンターの活動内容の紹介や各種連絡、イベント案内、行政情報など盛りだくさんです。
「すべての高齢者のみなさん聞いてください!わたしたちはあなたがたを必要としています」。デラウェア州内のNPOがシニアセンターの利用者に向かってボランティアへの参加を呼び掛けていました。希望者はその場で登録できるようになっています。
図書室で出会った70代とおぼしき男性が印象的でした。時間が早いせいか、まだだれもいない図書室の窓際にいすを運んで、彼はひとりで静かに本に向かっていました。窓から光が差し込んで、とても気持ちよさそうでした。「写真を撮ってもいいですか?」と話し掛けると、ちらっとこちらを見て、黙ってうなずきました。まるで時間がとまったような静寂に包まれていました。
図書室の隣りでは「自分史講座」が、和気あいあいと開かれていました。7人の受講生が、同じ年配の先生と一緒に、楽しそうに話し合っていました。この教室に限らず、受講者と先生の区別がつかないのも、シニアセンターならではの風景です。
「自分史講座」の人たちはじっくりと自分を振り返ることで、若い世代に何を残そうとしているのでしょうか。
シニアセンターのメニューの中では、インターネットの人気が高く、週二回の教室では受講希望を満たせないそうです。高齢者向け食事サービス「ミールズ・オン・ウイールズ」も、シニアセンターにとっては重要な活動です。調理場では調理スタッフが3人働いています。食事サービス・コーディネーターのデニース・グロウさんの話では、100人のカーボランティアが交替で、1日約60食、12のコースに分かれて届けます。「会食型食事サービス」も行っていて、昼食時には巡回バスや徒歩で地域の高齢者が大勢集まってきます。
「ニューアーク・シニアセンター」は、もともとデラウェア大学が土地を提供しました。現在でもシニアセンターの一部をデラウェア大学が研究所として借り、医療・福祉両面の研究に取り組んでいます。こうした研究に取り組む上で、シニアセンターの協力が重要だそうです。
<米国NPO研修から(2)>
米国のNPOの多くが、高齢者や家庭内暴力の被害に遭っている女性や子供、障害者、少数民族、災害や犯罪の被害者などの、社会的少数者・弱者の権利や利益を守るために活動しています。NPOの使命がこうした社会的少数者・弱者に対する支援・サービスにあることをまず確認したいと思います。
日本人の感覚で言えば、本来、こうした社会的少数者・弱者らへの支援は公共サービスの一環として、政府(行政)がまず責任を持つべきテーマですが、米国においては、政府の公共政策を実際に地域社会で担っているのがNPOであり、NPOの存在なくしては、米国の公共政策は成り立ちません。
NPOいっても、オフィスを構え、人を雇用し、有料でサービスを提供するのですから、ちょっと見ただけでは、企業活動と何ら変わりません。しかし企業の場合、利潤を追求し、株主に配当する義務があるので、仕事のコストがどうしても高くつきます。その点、NPOは事業活動で得た収入を、株主など特定の個人のものとしてはいけません。実際の仕事の多くを、趣旨に共感する大勢のボランティアが支えるのも、NPOの特色です。
政府(行政)側から見ると、仕事を企業に頼むよりも、NPOに頼んだ方が安上がりなうえ、NPOがボランティアを通じて、地域社会と密着しているので、よりきめこまかな公共サービスを展開できるメリットがあります。
米国の政府関係者に話に必ず出てくるのが「女性の参政権や公民権、エイズへの取り組みなど、米国の大きな社会運動はすべてNPOがリードしてきた」という説明です。米国のNPOは、政府(行政)や国民がまだ意識していなかった、さまざまな分野における社会問題に目を向けてきました。被害に遭っている人、悩みを抱えている人の声に耳を傾け、政府、国民に対策の必要性を訴えてきました。
NPOが米国の公共サービスを先導的に形成してきたこと、公共サービスを実際に担っていること、などが根底にあって、NPOには法人格と税制上の優遇措置が与えられています。
州によって違いはありますが、NPOには所得税、固定資産税について減免措置がとられています。次にNPOに寄付を行った企業、団体、個人には、原則として寄付した金額に相当する分の所得控除が与えられます。税金で収めるか、自分が共感するNPOに寄付するかを選択できるわけです。
こうした優遇税制があるため、民間の資金がNPOに集まりやすくなっています。それだけにNPOの仕事の質は厳しく評価されます。特に、政府(行政)からの委託事業をNPOが受ける場合、手続きや事業内容、資金運用、組織運営など、さまざまな面で適正さを要求されます。
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