シニアネット仙台 高齢社会システム「日本型シニアセンター」
シニアのための市民ネットワーク仙台
Home

メニューマップ画像

(10)高齢社会システム「日本型シニアセンター」の実現を訴える提案書

報告書「日本型シニアセンター'98」

(10)高齢社会システム「日本型シニアセンター」の実現を訴える提案書(抜粋)
                       1998年11月
           「シニアのための市民ネットワーク仙台」
1)はじめに
「日本型シニアセンター」を「高齢社会の新しい社会システム」としてつくりあげることを提案します。

わたしたち「シニアのための市民ネットワーク仙台」は平成7年8月12日の発足以来、「高齢化問題」「高齢社会のありよう」に関心を持ち、幅広い世代による、草の根の市民活動に取り組んできました。

 わが国の急速な高齢化は、地域社会にさまざまな課題・懸案をもたらしています。高齢化に伴う諸問題の解決に備えて、早急に取り組みを進める必要があります。わたしたちは、とりわけ定年退職者・高齢者らの知識・経験や感性を社会に生かす仕組みづくり、子育てを終えた女性たちの力を生かす環境づくりを、緊急の課題と考えています。

 高齢者が家に引きこもらない社会の建設は、「高齢社会」に新たなマンパワーを創造することであり、真に助けを必要としている高齢者や障害者・子供たちの支援にもつながります。予防医学的な見地からしても、高齢者が社会における役割を自ら発見し、生き生きと暮す社会づくりが重要です。その結果として、医療・福祉関連分野の社会的費用の削減も期待できるのは言うまでもありません。

「日本型シニアセンター」は、単なる「はこもの」建設ではなく、高齢社会の諸問題に、市民がきちんと向き合い、行政・既存の地域組織、企業、NPO(民間非営利組織)との連携の中で、解決策を探るための「仕組み」です。

運営主体は市民のボランタリーなエネルギーを基盤とするNPOであり、ボランタリーな市民や社会貢献を目指す行政、新しい高齢社会のシナリオを考える企業、既存の地域組織、NPOと連携する拠点となります。

「日本型シニアセンター」の運営がNPOの手で行われることは、地域社会のボランタリーなエネルギーの活用を意味します。子育てを終えた女性の実行力、判断力がシニアセンター運営の大きな力になるのはもちろん、知識・経験の豊富な高齢者は、新しいタイプつまり、肩書きや名刺に依存しない新しいタイプのリーダーとして、社会に参画することを期待されます。

「日本型シニアセンター」は、高齢化問題に主体的に向き合う市民のパワーを前提にする意味で、単なる箱ものをつくる提案とは根本的に異なります。高齢者や子育てを終えた女性たちのライフスタイルの変革そのものであり、高齢化が進む地域社会の変革でもあります。

 「日本型シニアセンター」には、さまざまなパターンがありえます。地域の実情や運営主体によって、その形態・運営方法は異なるのがむしろ自然です。「日本型シニアセンター」の発想に、重要な示唆を与えてくれたのは、米国各地に15000も存在するシニアセンターですが、米国の場合も規模、運営ともに多くのタイプが存在することをあらかじめ強調しておかなければなりません。

2)「日本型シニアセンター」を高齢化対策の柱に

「シニアのための市民ネットワーク仙台」は「日本型シニアセンター」のモデルを先行的につくってきました。

●その1 「サロンわい・わい石名坂」

 「日本型シニアセンター」を実験的に立ち上げるため、わたしたちは平成9年10月、仙台市若林区石名坂に独自の拠点「サロンわい・わい石名坂」を確保しました。

 「シニアのための市民ネットワーク仙台」の活動に共感する市民が、無料でビルの一室を提供してくれたことがきっかけとなりました。実験プロジェクトとしてスタートしましたが、1年間、手探りの運営を続けた結果、小さいながらも立派なシニアセンターに育ちました。

 「サロンわい・わい石名坂では、講座・講演やさまざまなイベントを自主企画・開催したほか、「シニアのための市民ネットワーク仙台」の他の活動グループの活動の場としても活用してきました。

高齢者を中心にシニア予備軍世代が運営にかかわり、1年間(週4日)に延べ2300人が利用しました。運営費は講座・講演などの会費収入のほか、「わいわい喫茶」やバザーなどの収益を充てています。財団法人長寿社会開発センターその他の団体、個人からの寄付を受けています。

「サロンわい・わい」は2年目の活動に入っています。

●その2 「シニアのための市民ネットワーク仙台」自体がネットワーク型のシニアセンターです。

 「シニアのための市民ネットワーク仙台」には、「サロンわい・わい石名坂」のほか、20に及ぶ活動チームがあります。いずれも高齢者世代が自ら社会参加の場を求め、若い世代とのコミュニケーションや他者の支援を必要とする高齢者・障害者の支援活動に参加しています。

「シニアのための市民ネットワーク仙台」の各グループの活動は、米国のシニアセンターが地域の高齢者に対して提供しているサービスメニューと重なるものがほとんどです。

 特に高齢者向けの食事サービス機能は不可欠。「シニアのための市民ネットワーク仙台」は宅配型の食事サービス「ぽけっと・はうす」に取り組んでいます。シニアセンターを交流の場として位置づけるには、地域の高齢者が集まって食事をする会食型の食事サービスも重要です。

「サロンわい・わい石名坂」を「拠点型シニアセンター」と呼ぶなら、「シニアのための市民ネットワーク仙台」は、「サロンわい・わい石名坂」を含めて「ネットワーク型のシニアセンター」と言ってもいいと思います。

3)シニアセンターのタイプはいくつも考えられます。

「サロンわい・わい石名坂」はシニアセンターの基本形ですが、この形に別の要素を組み合わせることによって、シニアセンターのタイプはいくつも考えられます。


以下にいくつか事例を上げます。

@ サロンわい・わい石名坂型(テナント型)

ビルの一室にスペースを確保して、シニアセンター活動を行います。「サロンわい・わい石名坂」はこの一例。場所の確保が比較的容易です。

A商店街振興・住居併設型

地盤沈下の続く商店街の「核施設」として「日本型シニアセンター」を考えます。「日本型シニアセンター」と「高齢社会」の「すまい方」を組み合わせます。高齢世帯、ひとり暮らしの高齢者らに安心と、さまざまなボランティア、学習、交流の機会を提供します。

B独立型

 一定の広さを持った敷地内に独立したシニアセンターを建設します。高齢社会を地域全体で支えるシンボルともなります。

C市民センター・公民館併設型

高齢化が進む地域の市民センター、公民館などの諸施設を「日本型シニアセンター」として再構築します。組み合わせは工夫次第でどんな形にでもなります。高齢社会に焦点をきちんと当て、既存の資源を有効に利用することが可能です。

4)二つのタイプをより詳しく説明します。

サロンわい・わい石名坂型(テナント型)

 ビルの一角にシニアセンタースペースを確保します。「シニアのための市民ネットワーク仙台」が平成9年10月にスタートさせた実験プロジェクト「サロンわい・わい石名坂」には1年間で延べ2300人の訪問者がありました。

企画・立案から準備、運営まで、すべてを「シニアネットワーク仙台」の会員がボランティアで支えています。週4回の「オープン日」には、2人の「当番さん」が対応し、運営委員会を月1回開催しました。「テナント型シニアセンター」の可能性を考えていただく手掛かりとするため、「サロン」1年目の活動の様子を報告します。

○「サロンわいわい・石名坂」1年目の活動

●サロンの必要性についての論議

●サロン立ち上げ準備

 サロンスペースの確保、サロンスペースを無償提供してくれた岩井氏との協議・連携  理念の創造、立ち上げ手法に関する論議、シニアネットワーク仙台本体との整合性、設立準備資金の確保、マンパワーの確保、物資の調達

 支援者への呼び掛け・交渉、呼び掛けチラシの作成・配布、周辺地域へのあいさつ

●サロン立ち上げ

 スペースレイアウト

 運営システムの構築

 組織、財政、経理、企画開発、事務局および他活動グループとの調整

 資金調達の試行・実践

●運営上の特色

 運営委員会

 当番制

 「わいわい募金」の設置、寄付の呼び掛け、バザー、わいわい喫茶

 主催事業(講座・講演など)

 活動グループに場の提供サービス

 サロン利用促進の働き掛け

 パソコン教室、英会話教室、和竿作成講座

 外部団体・機関との連携

 会報「わいわい」の発行(日本型シニアセンターをテーマとするメディア)

○1年目の総括

「サロンわい・わい石名坂」の運営に関する主要データは次の通りです。

●年間利用者数 2300人

●年間稼働日数   週4回、90日

●運営委員会開催   12回

●講座・講演回数 ●ボランティアスタッフ(当番)活動延べ日数

           90日×2人=180人・日

●総経費 1219248円

 「サロンわい・わい石名坂」は、ボランティアを基調とする自主的運営によって、高齢者の諸活動・社会参加の機会提供サービス、自主講座・講演の開催、高齢者同士や若い世代との交流の場提供サービスなどの活動を行っています。

 収入は「サロン」利用者から受け取る利用料、喫茶、バザー売り上げ、寄付などです。

 訪問者への応対や実際の運営にあたる「当番」(ボランティアスタッフ)には、交通費実費のみ支払われています。資金の手当てがつかないことから、NPO(nonprofit organization=民間非営利組織)の特徴である有給スタッフは置いていません。

運営上の方針や具体的な活動内容については、運営委員会(15人)が協議して決めています。運営委員の中の約半数がボランティアスタッフ(当番)にも入り、2人ないし3人が事実上、専従のスタッフとして運営の要となっています。

 1年目は市民から無償で提供されたスペースを利用したため、家賃が発生していません。総経費は1219248円でした。訪問者の応対や維持管理にあたるスタッフ(当番)を有給で雇用したと仮定すると、人件費が900000円(日当5000円×180人・日)上乗せされ、総経費は2119248円となります。

 したがって、「サロンわい・わい石名坂」は、訪問者に対する応対や維持・管理にあたる直接的な人件費だけで、この種の活動を有給雇用者を使って運営する場合に比べて、40%以上のコスト縮減効果があったことになります。

 計算方法は下記の通りです。

 (2119248円ー1219248円)÷21119248円×100=42.5%

 高齢者の諸活動・社会参加の場・機会の提供、自主講座・講演の開催、高齢者同士や若い世代との交流の場の提供など、当初、想定した活動において、「サロン」は数々の成果を上げました。「サロン」活動を通して浮かび上がる「日本型シニアセンター」のイメージは「日本型シニアセンター概念図」(略)の通りです。

「高齢社会」において、「日本型シニアセンター」が果たすべき役割、備えるべき機能、運営上の課題(資金調達、スタッフの確保、プログラム開発能力)など、多くの具体的な検討事項を提示することができました。

5)日本型シニアセンター」に必要と思われる要素

@運営主体はNPO

A財政面の支援(企業、行政、民間財団、個人)

B既存施設・プログラムとの連動

C高齢社会における情報拠点機能(情報弱者としての高齢者を念頭に)

6)「日本型シニアセンター」モデル事業の推進

 「日本型シニアセンター」を今後の高齢化対策の柱のひとつとするよう提案します。「日本型シニアセンター」は、いわゆるNPO型の運営主体に、行政、企業、住民が連携しながら取り組む高齢化対策です。

(例)「シニアのための市民ネットワーク仙台」との連携

 仙台市内でモデルケースをつくり、その運営ノウハウを広げる。

○モデル事業推進体制

 シニアのための市民ネットワーク仙台、専門家グループ、ボランティア団体など

○モデル事業推進スペースの確保

 行政の支援

○予算

 行政による運営助成と独自の資金調達

○運営主体(NPO)育成プラン策定・実践

「日本型シニアセンター」を運営するNPO型運営主体の育成が必要。運営主体としてのNPOは、高齢化問題の総体的な理解と解決法の研究開発・実践を草の根のレベルで取り組む理念と能力を要します。高齢者福祉関連の既存の資源を活用する力を、NPOが行政、企業、市民と連携しながら開発することもが、重要なテーマとなります。

7)終わりに

「日本型シニアセンター」は、平成7年8月12日の発足以来、研究を積み重ねてきました。国連の「国際高齢者年」(1999年)を迎えるにあたって、「シニアのための市民ネットワーク仙台」は平成9年夏、国際ゆめ交流博覧会で「国際フォーラム・日本型シニアセンターを考える」を主催しました。同年10月、実験プロジェクト「サロンわい・わい石名坂」をスタートさせ、平成10年8月末、新たに「プロジェクトチーム」を編成し、「日本型シニアセンター」の実現に向けて取り組んでいます。今回の提案は「プロジェクトチーム」の活動の一環として、足掛け3年に及ぶ「日本型シニアセンター」の研究成果を平成10年11月現在で中間的に集約したものです。

シニアのための市民ネットワーク仙台
仙台市青葉区一番町2ー5ー12 一番町中央ビル8階
Copyright(C) 1996-2000, Sendai Citizens' Network for Seniors
E-mail:info@sendai-senior.org